はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

先月に子供を出産しましたが、現在、離婚を前提に別居中です。実家に身を寄せています。今は働けないので、貯金を切り崩して生活しています。実家なので最低限の費用しかかかっていません。夫からの生活費の仕送りはありません。

離婚するとシングルマザーとして、市からの助成金がもらえると思いますが、子供のことを考えると離婚を急がない方がいいのかなとも考えています。経済的にはどちらの方がよいのでしょうか。また、子供が生まれたので学資保険を考えてます。正直、あまり余裕もないので、まだ検討中なのですが、将来のためにはやはり加入した方がよいでしょうか。よろしくお願いします。

〈相談者プロフィール〉
・女性、26歳、既婚、子供1人
・職業:無職
・居住形態:両親の持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:20万円弱
・毎月の支出目安:8万程度(通信費、食費、赤ちゃん用品、病院代)


花輪: ひとり親家庭の2人に1人、母子世帯の約5割が貧困というデータ(平成28年度 国民生活基礎調査)もあるほど、シングルマザーの生活は厳しいです。

厚生労働省の「全国母子世帯等調査 2016年度」によると、シングルマザーになった理由は、約8割が離婚、約1割が死別のようです。

シングルマザーの家計はどうなっている?

シングルマザーの平均年間就労収入は200万円です。2016年度の女性の平均給与は約280万円(国税庁 民間給与実態統計調査)ですから、シングルマザーの収入が低いことがよく分かります。

理由の1つとして、パート・アルバイトが多いということが挙げられます。同調査でシングルマザーの就業状況をみると、パート・アルバイト等が43.8%、正規の職員・従業員が44.2%と、パート・アルバイトの割合が高いことがわかります

年齢が若く、実家の支援が受けられるというのは条件が恵まれているので、ご両親の支援を受けながら、できれば正規の職員・従業員として働いてしっかりと収入を得られるようになることを目指しましょう。子連れでも来店しやすい、マザーズハローワークなどを活用しても良いですね。

離婚にまつわる3つのお金

離婚にまつわる主なお金として、「慰謝料」「財産分与」「養育費」の3つがあります。

「慰謝料」 とは、離婚の原因をつくった配偶者に対して請求できるお金のことです。

「財産分与」 とは、夫婦が結婚している間に協力して得た財産を離婚後に分けることをいいます。

対象となる財産には、建物や土地、預金、株式、年金、退職金などがあります。結婚前にそれぞれが貯めていたお金、相続や贈与で得たお金、社会通念上、一方の固有財産とみられる衣類や装身具などは分割の対象とならないとされています。

「養育費」 とは、子どもを扶養する義務のある両親が、子の監護に要する費用を経済力に応じて分担する費用のことです。

しかし、実際に養育費を受給できている人はわずか。養育費の取り決めをしている割合は約43%、養育費を現在も受給している人は約24%というデータもあります(全国母子世帯等調査2016年度)。

養育費と面会交流に関しては、現在、民法にも明記されていますので「養育費相談支援センター」に相談してみてもよいかもしれません。

シングルマザーのための公的支援

相談者の場合は、配偶者からこれらのお金が見込めないということですが、公的な支援はどのようなものがあるでしょうか。

ひとり親家庭に対しては、さまざまな公的支援があります。

たとえば、児童扶養手当、JR通勤定期券割引、バスなどの特別乗車券、税金の軽減、水道料金等の減免、粗大ごみ処理手数料の減免、金利の優遇のある「ニュー福祉定期預金」の利用、ひとり親家庭等医療費助成などといった支援があります。詳しくは、各自治体のホームページなどでご確認ください。

学資保険は教育費づくりに有効?

日本で販売されている学資保険は現在、利回りが低いので、子供の教育費の準備にはそれほど魅力的な手段ではありません。

生活に余裕があって、目の前のお金を使ってしまうというような家庭の場合は検討の余地があるかもしれませんが、相談者の場合はそうではないからです。

保険で貯蓄をする場合、長期間お金を自由に引き出すことができなくなるため、生活に余裕がない場合はもう少し換金がしやすい定期預金や個人向け国債などで貯蓄をする方が良いでしょう。

家計や資産に余裕がでてきたら、少しリスクをとって投資信託を購入するのも1つですが、まずは元本割れのリスクが低く、換金がしやすい商品を選択するのが良いでしょう。

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