交通ルールは皆が守り、従うのが大前提。一方で、本来は警告だけですむかもしれない軽微な状態で反則金の支払いを迫られたり、そうかと思えば、逆に駐車違反やスピード違反をしても減点や罰金の支払いを免れる抜け道があったり。こうしたことが指摘され、対応の不公平さが問題になっています。

交通違反に詳しい交通ジャーナリストの今井亮一さんに取り締まりの現状や問題点について伺いました。


「減点逃れ」ができてしまう駐車違反

場所がない中仕方なく停めた数分で駐車違反の切符を切られたり、取り締まり強化期間中だけスピード違反を起こしやすい場所で待ち伏せする「ネズミ捕り」をされたり……。

交通ルールを守るのは、市民として当たり前の義務とはいえ、「なんとなく納得いかない」と思った経験がある人は、少なからず、いるのではないでしょうか。

さらに昨今では、当人が交通違反を自覚しているにもかかわらず、反則金を支払わずに済んだり、減点を故意に免れたりする抜け道があることが指摘され、交通違反は法律のあり方も含めて、その対応や処理の方法がたびたび問題視されています。

「交通安全の取り締まりは、危険を防ぐためというより、警察も目標の検挙率を達成すべく、やらざるを得ない部分があり、一種の“交通商法”のようになってしまっていることも否定できません。そのため、抜け道などの歪みも生まれてしまうのです」。

交通違反に詳しい交通ジャーナリストの今井亮一さんは、こう指摘します。

特に抜け道があるとしてよく挙げられるのが、駐車違反です。

「駐車違反は、違反切符を切られても、警察に出頭しなければ、車の所有者に課される『放置違反金』の支払いだけで済み、違反した当事者の運転者は『反則金』を取られずに済みます。また、減点されることもありません」。

もちろん免許取り消しなどに影響はなく、ゴールド免許であれば、それも維持できます。逆に、真面目に警察に出頭した人だけ、反則金をとられ、減点されてしまう仕組みになってしまっています。

道路交通法の改正のひずみ

こうした「逃げ得」が可能になったのは、2006年に道路交通法が改正されたためです。それまでは、駐車違反をすると警察に出頭しなければ、反則金の支払いはできませんでした。そのため、必然的に多くが出頭し、同時に点数も引かれていました。

一方で、この頃から、警察の警告を無視して出頭さえしなければ、違反をした人を特定できないことになり、運転者は支払うべき「反則金」を支払わずに済みました。また点数にも影響しませんでした。そのため、実際、反則金の納付率が7割にとどまっていたのです

そこで、これを是正すべく、運転者に課す反則金だけでなく、反則金が支払われない場合、車の所有者に「放置違反金」の支払い義務を課すことにしたのが、改正後の道路交通法です。放置違反金は納付書が送られてきて、無視すると銀行口座など財産を差し押さえられるため、支払わざるを得ません。

ところが、運転者に課される肝心の反則金は、改正後も、相変わらず出頭さえしなければ、実際の違反者を特定されないため、支払いをせずに済み、減点もされないまま。結局、形を変えて逃げ得は残ったのでした。