はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はマネーフォワードから生まれたお金の相談窓口『mirai talk』のFPがお答えします。
お付き合いしている男性がいます。現在は実家暮らしですが、これから同棲も考えており、最近家計簿をつけ始めました。今後、引越しや結婚にいくらくらいかかるのかを知りたいです。また、今まで順調に貯金をしてきたつもりですが、資産運用などはあまりやってきていないため、保険を含めてどのように進めればよいか教えてください。
〈相談者プロフィール〉
・女性、32歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:実家暮らし
・手取り月収:20万円
・年間ボーナス:30万円×2回
・預貯金:300万円
【家計の内訳】
・住宅費:実家に3万円
・生命保険:なし
・食費:1万円
・通信費:1.5万円(自宅固定回線と携帯)
・趣味・娯楽費:2万円
・衣服・美容費:5万円
・交際費:2.5万円
・毎月貯蓄:5万円
※ボーナスはすべて貯蓄しようと考えていますが、年間約30万円しか残りません。
FP: ご相談ありがとうございます。miraitalkファイナンシャルプランナーの宮城です。
ご結婚に向け、準備中なのですね。同棲や結婚をしたら支出状況が変わるかもしれませんが、まずは「支出の仕方を把握する」習慣を作るという意味では、家計簿をつけるのは非常に有意義だと思います。ボーナスの30万円分が使途不明になっていますので、ざっくりとでも見える化を進めてみましょう。
結婚式に約350万円、新居に約70万円
結婚関連の費用についてですが、結婚情報誌「ゼクシイ」の調査によると、結婚式にかかる費用は、式にかかる費用だけで355万円ほどとなっています。ご祝儀をいただけたり、ご両親からのサポートがあると全額自己負担でない場合もありますが、ご主人になる方やご家族とも話し合い、準備を進めたほうがよさそうです。
昨今、結婚披露宴はさまざまな形で行われることが多くなり、費用をあまりかけずにできる方法も広まってきています。ご自分たちの予算を考えながら、希望する形を決めていくとよいでしょう。
新居の費用について、同調査では敷金礼金から家具まで込みで約72万円が相場とされています。これも、どのような新居に、どのような家具をそろえるかで決まりますので、彼とよく相談されるとよいでしょう。
気をつけていただきたいのは、一生に一度だからといって、大きく予算をかけ過ぎないことです。世間体を気にされる方もいますし、プランナーさんからさまざまな提案があると、お金をかける方向に考えてしまいがちです。ブライダルローンやキャッシングを利用してしまう方もいらっしゃいますが、2人の将来への影響を考えると、身の丈にあった式や披露宴を考えることも大切だと思います。
今後、家庭を持って生活していくことを考えると、現在の支出について少し見直しを図ったほうがよいでしょう。支出状況を見ていると、ご自分にかける衣服費、美容費、趣味娯楽、交際費などが多めのようです。少しずつ支出をダウンサイズできるよう工夫してみましょう。
自分に合った保険選びのポイントは?
生命保険については今のところ何も加入されていないということですので、ポイントだけをお話したいと思います。
まず死亡保険(自分が亡くなったら保険金が下りるもの)については、ご自身のお金で養っているご家族などがいない間は必要性は低いと考えてください。
次に、医療保険についてですが、現在は保険に加入されていないため、けがや病気になった際に、自己負担分についてはご自分の貯蓄からまかなうことになります。重いけがや病気などの場合、働けない期間ができ、収入が減ることも考えられますが、その分を貯蓄でカバーしなくてはならない状況です。負担が大きいと感じるようであれば、医療保険は加入しておいてもよいでしょう。
日本には高額療養費制度があります。1ヵ月の医療費が高額になった場合、収入とかかった金額により自己負担すべき医療費の上限額を決めて、上回った分を健康保険が負担してくれる制度です。
一般的な収入(標準報酬月額28万~50万円)の方で、月に8万円強以上です。医療費の自己負担が30万、40万円になっても、8~9万円の自己負担で済むわけです。こういったものを利用できることを踏まえ、必要な保障額を検討してみてもよいですね。
投資を始める前に……
現在貯蓄が300万円あり、毎月5万円の貯蓄を作ることができているので、生活環境が変わらず、また大きな出費の予定もないのであれば、ぜひとも「投資を始めよう」と言いたいところです。
ですが、今後の生活の仕方がまだ定まっておらず、結婚などで貯蓄を取崩す予定があるので、まとまった金額を投資にまわすことはおすすめできません。
できれば、彼との生活でも毎月しっかりと貯蓄ができるようになり、貯蓄額が2人の収入の7.5ヶ月分以上になったタイミング、さらにいえば、住宅購入費用、出産費用、教育資金など今後必要になるだろうお金を貯められる見込みができてからがよいと思います。
若いうちは時間を味方にした投資を
一方で、お若い2人には時間を味方にした投資も可能です。お金を貯めてからの投資が堅実ですが、それまでに時間がかかるようであれば、その時間を有効活用したいところです。
投資を始めてみたいと思うのであれば、2人でしっかりと毎月貯蓄ができる状況になってから、その一部をリスクが少ない投資信託などで長期的に積み立てながら投資していきましょう。
未経験の状態からいきなり個別株やFX、仮想通貨を始めることはお勧めしません。つみたてNISAなどで投資信託を少額から買ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。始める前にはかならず、「投資信託とは何か」「リスクが低いとはどういうことか」「長期・分散・積立の効果」など、基本的な知識は押さえておきましょう。
少額からでも始めてみると、相場やお金についてより関心も高まり、もっと勉強したくなると思います。無理のない金額で貯蓄とのバランスを見ながら計画的に取り組んでみましょう。
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