はじめに

結婚式や同窓会、そんな特別な日の服選びは、なかなか悩みどころです。せっかくの機会にお洒落がしたい、けれどその度に新しいドレスを買うのは、お財布に厳しい……。

そんなときに活躍するのがシェアリングサービスです。中古品を買ったり、レンタルで数日だけ借りることで、費用を抑えながらお洒落を楽しむことができます。そのシェアリングサービスに、百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が参戦です。

銀座三越は、ドレスウェアのレンタルサービス「CARITE」を11月30日までの期間限定でスタートさせました。百貨店が展開するシェアリングサービスとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。


“百貨店ならでは”の商品と接客

CARITEは専用のアプリを使って、ドレスをレンタルできるサービスです。その特徴について、アプリ開発を手掛けた富士通の佐藤俊也氏は、「百貨店の実店舗とおもてなしサービスを最大化するアプリ」と説明します。

CARITEでレンタルできるブランドは、DHELA、FLICKA、Helmut Lang、Phase Eightなど13ブランド。いずれも国内外の気鋭のデザイナーが手掛ける“ワンランク上”のブランドです。

商品はいずれも2018年シーズンもので、およそ200着。銀座三越のブランド店舗で販売している店頭最新商品です。レンタルは一律2泊3日、価格は定価の2~3割に設定されており、往復送料とクリーニング代込みで1万2,000~1万5,000円が中心です。

銀座三越の3階には、CARITEプロモーションスペースが開設されていますので、着心地が気になる場合はそこで試着することもできます。また、スペース内にはレンタル可能な商品が陳列されているので、その場で見て商品を選ぶことも可能です。

 店舗で商品を選んだ場合は、タグに付いているQRコードでアプリに商品を読み込むことができます。 

アプリ上では、チャットを通じてオペレーターに商品詳細などを質問することができます。さらに、CARITEプロモーションスペースの販売員とフレンド(アプリ上で相互フォロー)の関係になることで、チャット上で直接スタイリング相談もできると言います。

若い世代の獲得なるか

これまで百貨店が取り扱うレンタルは、ウエディングドレスや振袖などの特別な衣装が中心でした。ドレスウェアとはいえ、ものによっては普段使いもできる商品のレンタルを大手百貨店が手掛けるのは目新しい取り組みです。

今回の取り組みについて、銀座三越の東海林憲昭店長は「所有からシェアという新しい価値を提供し、百貨店をあまり使わない若い世代のお客様を獲得していきたい」と話します。

特に、パーティードレスなど利用頻度の高くない商品は、シェアリングサービスの代表格、フリマアプリでも活発に取引がされています。また、ECサイトやSNSの普及により、時間と場所を選ばないオンライン上でのコミュニケーションや購買活動は、もはや当たり前になりました。

そのような購買スタイルに合わせ、アプリを中心に百貨店ならではのサービスを組み合わせたのが、今回のCARITEというわけです。東海林店長は「今回の検証をしっかり行うことにより、お客様の生活をより豊かにできるように今後一層努めてまいりたいと思います」とし、12月以降の取り組みについても意欲を見せました。

若い世代の購買スタイルの変化に対応しながら、百貨店が強みとする商品調達力と接客力で“百貨店ならでは”の価値を提供できるのか。11月のサービス終了後、その結果に百貨店の未来の一端が見えてきそうです。

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