はじめに

これまでも時代とともにさまざまな進化を遂げてきた、オフィス周りの各種アイテム。しかし、ここ最近の進化度合いは目を見張るものがあります。

現在ヒットしているオフィス関連アイテムに共通する特徴があるとすれば、機能性とスマートさを兼ね備えている点。最新のトレンドアイテムにはどんなものがあるのか、ご紹介していきます。


効率的でスタイリッシュな文房具

まずご紹介するのは、昔からの定番アイテムである、デスク周りのオフィス文房具。特に売り上げの伸びが顕著なのが、書類ケースなどの整理・収納関連のアイテムです。今年上半期の楽天市場での売上高は、前年同期の約3倍となっています。

勢いを牽引しているのが、今までなかった付加価値のついた高性能のアイテムです。その1つが、キングジムのクリアファイル「カキコ」(20ポケット型で税抜き600円)。上下のフラップに書類を差し込んで固定できるため、資料をファイルに入れたまま、書き込むことができます。

文字などをラベルに印刷できるラベルライターも、大きな進化を遂げています。専用のアプリをダウンロードすれば、スマートフォンで打ち込んだ文字を印刷可能。QRコードを作成して、取扱説明書などをダウンロードできるようになっている機種もあります。

いずれも、効率化と時短を兼ね備えた整理アイテムとして売れています。なおかつ、大昔の整理アイテムと異なるのは、スタイリッシュな外観。デスクの上に置いていても、野暮ったく見えないこともヒットの理由になっているようです。

仕事の合間のおやつにも、効率性が求められていることがわかります。「ストレスを低減するチョコレート」をはじめとした仕事効率を高めるブレインフードや、ナッツ類などギルトフリー(罪悪感のない)で糖質制限のあるお菓子が好まれている傾向があります。

スマート仕事着に海外からも熱視線

機能的でスマートなアイテムが売れているのは、デスク周りだけではありません。スポーツ庁がスニーカー通勤を推奨し始めたことに象徴されるように、仕事着にも機能性とスマートさを求める流れが起きています。

その一例が、ストレッチ素材のカジュアルセットアップです。自分に似合うものをカッコよく着たいというニーズから、体型に合わせて着ることができるものが売り上げを伸ばしています。

こうした流れは、工場や建設現場にも波及。スーツの要素を取り入れた作業着が話題を呼んでいます。

また、このところの猛暑の影響から、相次いで完売しているのが「空調服」です。脇に付いた小型のファンから外気を取り込み、通気性をアップ。裏地には接触冷感素材を採用し、暑い屋外で少しでも快適に過ごせる工夫が盛り込まれています。

海外では、ファッションの1つとして人気を集めている作業着。さまざまなシーンに合わせて着られる商品が誕生し、今後ますます市場が拡大するのでは、と注目しています。

背景に「働き方改革」と「インスタ映え」

こうした一連の流れの背景には、何があるのでしょうか。私は、近年政府が推進している「働き方改革」があるのではないか、と見ています。

働き方改革といえば、長時間労働の是正や有給休暇取得の推進などが注目されがち。しかしその一方、会社から効率的な働き方を求められた現場では、「仕事を効率的に進めたい」「オフィスを居心地のいい場所にしたい」といったニーズが高まり、新しいアイテムを生み出す土壌になっていると考えています。

もう1つ、背景にあると見ているのが、昨年の流行語にもなった「インスタ映え」です。SNSでトレンドを分析していると、女性の間で密かにトレンドになっているのが「#オフィス映え」。オフィスでいかに見栄えするか、共感を得られるかを意味します。

それを表現するアイテムの1つとして売り上げを伸ばしているのが、社内で履き替えるかわいいオフィスサンダルです。今年上半期の楽天市場での売上高は、前年同期に比べて12.1%も増加。潜在的な需要を掘り起こせば、まだまだ伸びるマーケットだと思っています。

一方、男性用のオフィスサンダルとして急激に売り上げを伸ばしているのが、今年日本に初上陸した「OOFOS(ウーフォス)」のリカバリーサンダル。本来はスポーツ後に疲れた足を回復させる目的で設計されたものですが、営業で歩き疲れた足にも最適です。仕事をしながらリカバリーできるサンダルは、これからトレンドになるのではないかと興味を寄せています。

OOFOS(ウーフォス)のリカバリーサンダル

オフィス環境は、この数年で確実に変わってきています。1990年代はオフィスでの喫煙は当たり前でしたが、現在ではありえないことです。オフィス環境をめぐるアイテムは、働き方改革が追い風になって、今後も拡大していくだろうと期待しているマーケットです。

(文:楽天市場 トレンドハンター 清水淳)

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