はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
毎年100万円くらい貯蓄をしたいのですが、なかなか上手くいきません。極力無駄遣いをしないように心がけているのですが、ご飯を食べに行ったり、ついついこれ欲しいなと思ったものを買ってしまいます。お金を貯めるためにはどうしたらいいのでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・男性、25歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯年収:300万円
・毎月の支出目安:17万円
・総資産:130万円
花輪: 人間の意志は非常に弱いということをまずは自覚しましょう。
多くの人は銀行口座にお金があると、なんとなく使ってしまいます。お給料をもらったら真っ先に一定の割合で貯金をしてしまい、その分はないものだと心がけるクセをつけることが大切です。
“割合”で貯金することが大切な理由
なぜ金額ではなく割合にするかというと、収入に関係なく始めることができ、収入の増加に伴って貯金額も増やしていけるからです。
手取り年収の25%を貯金するなら、手取り年収300万円で、年75万円(生活費は225万円)を貯めていくことができます。10年続ければ35歳の時に750万円も貯まることになります。
現在の支出額が約17万円、月の収入が25万円なら、使途不明金などを管理すれば決して不可能な数字ではありません。
また、年収の増加に応じて急激に生活費が上がることを防止し、生活費の増加に伴って備えを大きくすることができます。生活費が大きくなれば、それだけ無収入になった場合のリスクも高まります。できれば貯金の割合も、収入の増加に伴って上げていきたいのです。
貯金とは別に臨時支出費を用意する
貯めている人は、収入から生活費を使う前に貯金をしています。また、臨時支出用にお金をプールしている人が多いです。
臨時支出とは、友達に誘われた急な旅行の費用、交際費、税金などを払うお金です。手取り年収の10%程度を想定しておくとよいでしょう。
このお金があれば、急な出費で貯金を取り崩すことを避けることができます。いわば二重の城壁になるのです。
危機感を持って貯金に励むのも手
貯金に回すお金を捻出できるように、自分へのご褒美には予算を作るなどして工夫をしましょう。自由に使えるお金に制限をかけることで、収入に関係なく貯められるようになります。
また、恐怖と欲望をうまく利用するのも貯めるコツです。危機感を持つことは、貯金をする上で有効です。このまま貯金がないとどうなるのか、老後の生活を想像してみましょう。
また、お金が貯まったら欲しい物を具体的に想像しましょう。欲しい物を手帳に貼っておいてもよいですね。そうすることで、日頃小さな物をバンバン買ってしまうのを抑制させる効果があるからです。
最後に、長く続ける上ではワクワク感を持って取り組むことが大切です。少し貯まったら、あえて通帳を記帳するなどして、小さな達成感を味わってみるのも手です。無理のない金額からで良いので、ゲーム感覚で楽しみながらお金を貯めていくのもいいでしょう。