はじめに
ステーキ店チェーン「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスの業績が好調です。
「いきなり!」で立ち食い業態に参入した2013年当時、売上高は56億円、本業の儲けを示す営業利益が2億円程度だった同社。それが今期は売上高629億円、営業利益40億円を目標に掲げています。7月30日に発表した第2四半期(1~6月期)の実績も、売上高、営業利益ともに期初目標を上回っています。
ところが、株式市場からの評価を表している株価の動きが冴えません。昨年10月に一時8,230円の高値を付けましたが、今年8月31日は3,820円と半分以下にまで落ち込んでいるのです。
同社に何が起きているのでしょうか。8月29日に開催された第2四半期決算説明会の資料から、ペッパーフードの現状を読み解いてみます。
店舗数は3年半で9倍まで増加
今でこそ「いきなり!」が有名になったペッパーフードですが、その祖業は低価格ステーキハウスの「ペッパーランチ」です。創業は1985年で、2006年に上場しました。
2017年12月期の実績は売上高362億円(前期比62.2%増)、営業利益22.9億円(同139.8%増)。今期は売上高、営業利益ともに前期比1.7倍にしようという計画です。
祖業のペッパーランチも、しっかり成長しています。しかし、それを目立たなくさせているのが「いきなり!」の著しい急成長。今期は「いきなり!」の売上高を前期の270億円から536億円に、営業利益を同25億円から46億円に増やす計画です。
成長エンジンは、言うまでもなく新規出店。2014年12月末時点では30店だった「いきなり!」の店舗数は、昨年末には188店まで増加。これが今年6月末には276店まで拡大しています。
結構高い下期計画のハードル
それでは上期の連結実績はどうだったかというと、売上高、営業利益ともに期初計画を上回って着地しました。上期の期初計画は売上高が268億円(前年同期比74.0%増)、営業利益12.4億円(同3.4%増)でしたが、着地はそれぞれ279億円(同81.5%増)、14.9億円(同24.0%増)でした。
それでも、会社側は通期計画を変更していません。下期計画のハードルが結構高いからかもしれません。通期計画から上期実績を差し引くと、下期は売上高で349億円(同67.9%増)、営業利益で25.4億円(同131.9%増)を稼がなければ達成できません。
上期の勢いのままなら、売上高は十分達成可能です。ただし、今年は酷暑で外食チェーンは総じて7月、8月で大きく業績を落としています。この会社は年に2回の半期決算発表時にしか月次実績を公表しないので、7月、8月がどうだったのかは、来年2月末に公表されるはずの期末決算を見なければわかりません。
一方、営業利益はだいぶハードルが高そうです。というのも、上期の営業利益率は前年同期から2.4ポイント低い5.3%。下期計画では同2ポイントアップの7.2%となっています。この辺りの事情が株価に暗い影を落としている一因ではないか、と推察されます。
もっとも、下期は出店コストが上期より下がりそうです。上期は国内外、全業態合計で117店舗の出店を実施していますが、下期は80店舗にとどまります。足元の株価低調の原因は他にもあるのでしょうか。