はじめに

10月11日の株式市場は、米国市場の急落を受けて日経平均株価も大きく値を崩しています。これまで米中間の貿易紛争への懸念はあったものの、好調な米国経済への影響は限られるとの見方から、米国市場ではハイテク株を中心に値上がりが続いていました。

しかしながら、好調な米国景気の影響で米国の長期金利が上昇に転じたことから、ハイテク株に対しても売りが強まり、日本の株式市場も大きく下落する動きとなっています。

このような相場の中、個人投資家はどのような投資戦略をとればよいのでしょうか。


新興市場は更に重たい値動き

新興市場の指数は、日経平均株価と比べると更に重たい値動きとなっています。東証マザーズ指数を見てみると、1月には1,350ポイントを超えていましたが、10月11日の終値で952.90ポイントまで下落しています。日経ジャスダック平均株価も年初に4,300円を超えていたものの、10月11日の終値で3,678.69円です。

新興市場は、東証一部と比べて流動性に乏しい銘柄が多いため、機関投資家からすると売るにも買うにも時間がかかるマーケットです。日本の株式市場は、上昇相場が続いて約6年になり、過去の相場から見ると中期的な調整局面を迎えても不思議ではありません。そのため、大口の資金は入りづらいタイミングであると考えられます。

では、個人投資家は新興市場を諦めた方がいいのでしょうか?先ほど挙げた流動性の観点からすると、投資資金が機関投資家と比べて小さい個人投資家の場合、新興市場の流動性が限られた銘柄でも、売買は可能です。ただし、機関投資家の資金流入が限られるため、個人投資家の資金が集まりやすいテーマに係わる銘柄に狙いを定めるのが得策でしょう。

最近の個人投資家の興味・関心はどこに?

それでは、個人投資家が興味を持っているテーマとはどのようなものなのでしょうか?下図は、SNSや掲示板上で話題になっているテーマの日別推移です。

最近話題になっているテーマとしては、「仮想通貨」や「VR」などが挙げられます。仮想通貨は、昨年末にかけて大きく値上がりしましたが、今年に入っていくつかの交換所で流失事件が発生するなど、良くも悪くも話題が豊富なテーマで、SNS上でも常に話題になっています。

また、VRはコンピューターの急速な進歩を受けて、各社がヘッドマウントディスプレー(HMD)と呼ばれるゴーグル型のデバイスを発売し、それを活用した新サービスのリリースが続いているため、SNS上での注目度は高いと言えます。

上記のようなテーマに係わるプレスリリース等があると、興味を持っている人が多いだけに、そのテーマに関連する会社の株価は反応しやすい傾向があります。

ただし、このようなテーマを基にした銘柄は、値動きが荒く大きな利益が狙える半面、注目されるテーマが日々移ろい、値上がりが続かない場合も多くあります。予想に反した値動きとなった際の撤退基準をあらかじめ決めておくなど、リスクコントロールも重要と言えるでしょう。

(文:松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎)

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