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日経平均の大幅下落、2019年は世界的な株安に進むのか

世界同時株安?

日経平均株価は2万円を割り込み、株価は調整色を強めています。それでは、代表的な先進国、新興国の株式市場はどうなっているのでしょうか?


世界同時株安なのか?

日経平均株価は、今週の火曜日に約1,000円下落し、2万円の大台を割り込みました。
この下落が、世界同時株安といえるのかを知るために、日米欧・中国・インド・ブラジル各国の株価指標の年初来騰落率と12月の騰落率を見てみましょう(下図)。

まず、年初来の騰落率を見てみると、日本・米国・欧州・中国において、大きく株価が下落している一方で、インド、ブラジルの株価はプラスを維持していることに気が付きます。

中国は、米中の貿易・知財問題の当事者ですので、将来の景気や株価に対して懸念があることは当然のことですから、中国を除いて考えると、先進国の株価が軟調な一方、新興国の株価が相対的に堅調に推移していると評価できそうです。

特に、2018年は米国の政策金利が引き上げられる中で、「新興国の成長を支えたお金が米国に回帰する」ことが(特に年前半に)懸念された年であることを考えると、プラスを維持していることは、特筆すべきことであると考えます。

新興国の中でも、インドは非資源国、ブラジルは資源国と分類されることが多いと考えますが、世界的な景気後退懸念が強まるのであれば、特に資源国の株価には、資源・商品価格の鈍化を通じて下押し圧力が掛かると考えることが自然なことです。

もちろん、これから景気後退懸念が新興国に波及し、株価の下落が始まると考えることもできるわけですが、昨今の先進国の不安定な株式市場を考えると、ブラジルの株価は相対的な底堅さが目に付き、世界的な景気後退懸念が過剰であることを示唆している可能性があります。

次に、12月の騰落率に目を転じてみましょう。12月の騰落率をみると、米国と日本の2ヶ国の株価の下落率が大きいことが分かります。

米国と日本の株価騰落率は、テレビなどのメディアでも取り上げられることが多いため、この報道だけをみていると世界同時株安が同じような程度で起こっていると感じる可能性もありますが、現時点での株式市場の不安定さは、世界中で同じような程度で発生している訳ではありません(クリスマス休暇の影響があるかもしれません)。

このように、国別の株価騰落率の違い、特に12月の騰落率の違いを考えると、米国と日本に(他の国よりも強く働く)悪材料があるのではないかとの疑問が生まれます。

日米の株価を下げる悪材料とは

米国については、トランプ政権の主要スタッフであると思われるケリー首席補佐官やマティス国防長官などの辞任を巡る報道が、「トランプ政権の政権運営の不安定化」や「政策が先鋭的なものになるのではないかという懸念」、「中国、民主党、FRB(連邦準備制度理事会)との関係が(更に)悪化する懸念」を生んでいると思われます。

特に、12月の政策金利引き上げを巡ってのトランプ大統領のFRBへの批判は、金融システムの根幹である中央銀行の独立性に影を落としたといえそうです。そしてこれらは、米国内の動きであるため、米国に強く影響を与えることは当然のことと思われます。

一方で、我が国株式が12月に大きく下落している理由としては、どのようなものが考えられるのでしょうか。

まず、割安・割高について考えると、株価下落に伴い予想利益と株価から算出される予想PER(株価収益率)の水準がアベノミクス開始後の過去レンジを下抜けてきています。

ここで問題となるのは、株価が下がっても、将来の利益が減少するのであれば、このバリュエーションの切り下がりは、正当化されると思われることです。

今回のトランプ大統領のFRBへの批判は、中央銀行の独立性に対する懸念を生んでいることは前述のとおりです。そして、仮に中央銀行の独立性が懸念された場合には、中央銀行の役割のひとつは自国通貨の番人ですから、米ドル安・円高が発生する可能性があります。

この場合、輸出企業を中心とした企業収益が下方修正される可能性があり、現在の予想PERの水準でも、我が国の株価は割安とはいえないという考え方が成立する可能性があります。

世界的な景気後退懸念やマネーの縮小、貿易・知財問題など従来議論されていた悪材料に加え、トランプ大統領とFRBの関係がどのようになるかに注目する必要があると考えます。

<文:チーフ・グローバル・ストラテジスト 柏原延行 写真:ロイター/アフロ>

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