はじめに

平成最後の「税制改正」――その方向性が昨年12月14日に公表されました。税制改正は基本的に毎年行われます。税制に関する改正は、私たちの生活に大きく影響を与えるものです。しかし、そもそも税制改正とは何でしょうか? そう聞かれて、すらすらと答えらえる人はあまりいないのではないでしょうか。

今回のシリーズでは、税制改正について、税制改正とは何か、どのような手続きで行われ、今年はどんな内容の改正が予定されているのか。できる限りわかりやすく解説していきたいと思います。


税制改正とは何か?

税制改正の「税制」とは、租税の制度のことです。租税とは、国や地方公共団体が、法律に基づき国民や住民から強制的に徴収する金銭のことをいいます。徴収された租税は、警察や消防署、市役所、ごみ処理施設、道路や橋の整備などの公共サービス全般に使われ、国民共通の経費としての性格を持つものです。

租税は強制的に徴収されることになりますから、どこからどのように集めるかが問題となります。社会的に認められる範囲で租税を課す必要があるので、所得や資産の多さに応じて税金がかけられたり、また消費するときなどに税金がかけられることになっています。

社会情勢や経済環境は毎年変化します。それに合わせて、税制も毎年変える=「改正」する必要がある。これが、税制改正です。 

どのように決まるのか?

その時の政権によって多少の違いはありますが、近年の税制改正はおおむね次のような流れで行われています。

まず、毎年夏頃に各省庁や経済団体から税制改正の要望が提出されます。次に、秋頃に、与党が「税制調査会」という委員会で12月まで要望の取りまとめを行います。これぐらいの時期から情報が表に出てくるので、メディアで「来年は税制がこう変わるらしい!」という報道がされはじめます。そして、12月中に翌年度の税制改正の案をまとめた「税制改正大綱」が与党によって発表され、内閣での閣議決定がなされます。

税制改正大綱は、閣議決定されると財務省のホームページに掲載されますので誰でも読むことができます。「平成31年度 税制改正の大綱」は、全文で105ページにわたります。興味のある方はぜひ読んでみてください。いくらなんでも全部読むには長すぎると思う方には朗報です。税制改正をコンパクトに4ページでまとめている「平成31年度 税制改正の大綱の概要」もあります。

年明けに内閣が国会に法案を提出し、国会での審議を経て3月に改正法案が成立、公布され、4月に法案が施行されるという流れになります。よほどのことがない限り、税制改正大綱の内容はほとんどそのまま法案として成立します。

改正された税制が適用されるのは、大抵の場合は法案の施行後です。なぜなら、急に税制が変わるといわれても、われわれ納税者の心の準備ができないからです。しかし、納税者に有利な改正については、法案が施行される前(たとえば、1月1日)に適用が開始される場合もあります。

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