はじめに

1ヵ月後に迫ってきたバレンタインデー。昨年、ホワイトチョコレート以来80年ぶりの新種となるルビーチョコレートを世界で初めて商品化し、話題となったのがネスレの「キットカット」でした。

「ルビーの発売からちょうど1年。『第4のチョコ』として社会現象になり、大きな成功をもたらすことができました。今年もイノベーションをもたらす存在として、新しいコンセプトをご紹介します」

こう意気込みながら、ネスレ日本のセドリック・ラクロワ常務がベールをめくったのは、同社が1月15日に発売した「キットカット ショコラトリー サブリム ボルカニック」。「火山」を意味する「ボルカニック」という名が付けられた、この商品。どんな味がするのでしょうか。


世界生産量の0.2%という希少種

1月15日から、東京と大阪を中心とした9店舗、全国約50ヵ所の期間限定店舗、アマゾンなどの通販サイトで販売が始まったキットカット・ボルカニック。生産地の名前を冠した3種類の展開で、販売価格は1本400円(税別)となっています。

ボルカニックチョコとは、火山島で育てられたカカオ豆を原料にしたチョコレートのこと。英国・ロンドンに本拠を構えるファイアツリーチョコレートが取り扱っています。

今回、キットカットで採用したのは、バヌアツのマクレラ島、パプアニューギニアのカルカル島、フィリピンのミンダナオ島という3つの生産地です。世界のカカオ豆の生産量に占める3ヵ国の生産量は1.5%未満と希少。その中のさらに10%にとどまる良質なカカオ豆だけを原料にしたといいます。


ボルカニックチョコレートの希少性について説明する、ファイアツリーチョコレートのマーティン・オデア氏

希少な豆だけに、栽培環境や製品化の工程においてもこだわりがあるようです。土壌については、火山から流れ出た溶岩が冷えて固まった火山性の土壌であるため、他の産地ではみられないユニークな味になるといいます。栽培方法にもこだわりがみられ、ココナッツの木陰で十分な間隔を取って育てられています。

収穫も、熟していないわけでもなく、熟しすぎてもいない、適切なタイミングで実施。その後、6日間発酵させたカカオの実からカカオ豆を取り出し、天日乾燥を施します。

乾燥している他の産地とは異なり、火山島では予期せぬ雨が降りやすい傾向があります。乾燥機を使えば簡単に製品化できますが、乾燥機が出す煙で豆の質が損なわれるため、天日乾燥にこだわっているそうです。

実際のところ、どんな味なのか

こうして手間暇かけて育てられた、ごく一部のカカオ豆だけを原料としたものが、ボルカニックチョコになるわけです。キットカット ショコラトリーの監修者で、実際にバヌアツの生産農園を訪れたという高木康政シェフは「今まで以上に気合いを入れて開発しました。大地の力がチョコに入っています」と評します。

高木シェフによると、フィリピン産のボルカニックは情熱的でスパイシーな味。パプアニューギニア産はみずみずしさの中にフルーティーさがある味。バヌアツ産は大地のエネルギーを感じる、深みのある味だといいます。


3種類の味について説明する高木シェフ

いずれもカカオ含有率は66%前後。発売当日に開かれたイベントに登壇した、ファッションモデルの山田ローラさんは「女性が好きそうなダークチョコに近い味」と表現します。他のカカオにはない、独特の果実味や酸味、大地の力強さを感じさせる味わいが特徴なのだそうです。


イベントに登壇したラグビーの山田章仁選手と、その妻でファッションモデルの山田ローラさん

「エネルギーが感じられる商品。バレンタインでアタックする勇気に変えてほしい」と売り込むのは、高木シェフ。火山の力で昨年のルビーに続いて、バレンタイン商戦で世間の関心を集めることができるでしょうか。

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