はじめに

確認しておきたい真水実倍率とは?

<モリの目>(森上展安)

タカの目さんのエピソードに出てくる温かい教頭さんと多くの方が出会えるとよいですね。

モリの目としても学校の安全は校長並びに管理職の最大の責務と思いますから、その点をゆるがせにしないことを優先されたケースを取り上げていただいてとても良いと思います。

実際、校舎の中や教室などが乱雑でゴミが散らかっている学校に行かせた結果、偏差値が高くとも担任が親身になって相談にのってくれず、不登校が長引いたケースがありました。目が行き届かないことはとても深刻な結果につながりかねません。

さて、今回の数値は第一志望率ですね。もう少し言うと、第一志望者の合格率というもの。

タカの目さん、とても良い所に目をつけましたね。なぜかというとそうやって合格率をみると、一見高そうなハードルもそうでもない印象になりますから、受験を前にしてひるむことはない、という気構えが出来ます。

少し具体例を出していきます。たとえば最難関と言われる男子難関校でこれをみていきましょう。

まずは開成です。開成の昨春の実倍率は、3.02倍でした。これは全受験生に対する合格者数の割合です。でも受験生全員が第一志望というわけではありませんね。筑波大学付属駒場もいるでしょうし、西の灘が本命ということもあります。

開成に合格すれば開成に進学するのだという割合を仮に「第一志望率」としますと、これは水増し率に注目すると一応の比率が出ます。水増し率とは文字通り入学定員を100としたときどのくらい多めに合格を出すか、という割合です。

1割増しにするか2割増しにするか、その割増率は裏をかえせばそれだけ他校に逃げる割合ですから、仮にそれが1割増なら、第一志望率は合格者の9割ということになります。

この第一志望率をもとに、実倍率を算出すると本当に開成なら開成に合格したら進学する受験生だけの倍率が出ます。

これを仮に単なる実倍率といわず真水合格率というとすると、開成の18年入試では、募集定員300名に対し388人の合格者を出したので1.29の水増し率となります。従って真水合格率は、細かな計算は省きますが、2.73倍になります。

もっとも例年補欠繰上げが相当数でますから、それはなしでの正規合格者の真水合格率ということです。同様に、開成の17年入試は、2.57倍になって2倍半ばに近かったのです。そうした真水合格率を2月1日の難関男子校について示してみます。(過去2年分)

中学校名(男子校) 2018年 2017年
麻布 2.17 2.21
武蔵 2.76 2.92
駒場東邦 1.581 1.76
早稲田 2.92 2.80
2.97 2.57
早稲田大学高等学院 3.05 2.55
海城 2.35 2.35
慶應普通部 3.05 2.81

※数字は倍率を表す
※小数点第3位以下を四捨五入して算出
※出典:森上教育研究所

いかがですか。駒場東邦は2倍を切り、海城は2倍前半。武蔵、芝、早稲田高等学院、慶應普通部は3倍前後…最難関に次ぐこれらの学校で、3割の合格率と言ってよいと思います。

女子難関校はどうでしょう。

中学校名(女子校) 2018年 2017年
桜蔭 1.67 1.74
女子学院 2.46 2.19
雙葉 1.29 2.77
フェリス 1.88 1.95
鴎友 1.75 1.54
吉祥女子 2.05 1.25
洗足学園 3.65 3.19

※数字は倍率を表す
※小数点第3位以下を四捨五入して算出
※出典:森上教育研究所

やはり、男子以上に5割を超えている学校が多くなりますね。

最も共学校となると大変厳しくなってきます。やはりいくつか揚げてみます。

中学校名(共学・男子) 2018年 2017年
早稲田実業 3.31 3.15
渋谷教育学園渋谷 3.17 2.49
広尾学園 3.98 5.89
中学校名(共学・女子) 2018年 2017年
早稲田実業 2.98 3.18
渋谷教育学園渋谷 3.25 3.08
広尾学園 3.05 5.31

※数字は倍率を表す
※小数点第3位以下を四捨五入して算出
※出典:森上教育研究所

この通り共学校は厳しく3割を大きく下回っています。17年の広尾学園ともなると公立一貫校並の倍率です。

さてほんの少しですが、真水合格率をみてみましたが、難関校でも男女別学校では5割台が案外あることに気が付かれたことと思います。

またさすがに共学校は3割台が多いことも。もちろんこれは昨年、一昨年の入試でしたが、男女別学校は例年と同じ比率になるところが多い様子です。

入試本番に向け受験校のこれまでの真水合格率をチェックしておきましょう。

(更新:1月28日)

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