大阪のオフィス街、大阪取引所から歩いて10分ほどのところに「道修町(どしょうまち)」という街区があります。ここには個人経営の漢方薬店や大手製薬企業の本社が軒を連ね、“薬の神様”として地元では有名な「少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)」、薬に関する資料館も複数立ち並んでおり、まさに「薬の町」の様相を呈しています。

江戸時代には、日本に入ってくる薬はいったん道修町に集まり、全国に流通していったといいます。薬の品質を見分ける知識を備えた薬種業者たちが江戸幕府の公認を得て、安全な薬の流通に寄与したわけです。

日本初の薬学専門学校が設置されたのも道修町でした。病気に苦しむ人たちを救うことができるような薬の開発と流通を担う町としての誇りや使命感は、今も引き継がれています。この道修町を入り口にして、有望銘柄を考えてみたいと思います。


道修町は小粒でもピリリとスゴい

熾烈な新薬の開発競争が続く世界の製薬業界にあって、世界レベルでは小粒ながら、道修町で育った製薬企業がしばしば画期的な新薬の開発に成功。世界を驚かせるとともに、多くの患者たちを救っている事例があります。

たとえば昨年、本庶佑(ほんじょたすく)教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことで話題になったがん治療薬「オプジーボ」を開発した小野薬品工業は、江戸時代に道修町で創業しました。ほかにも、道修町由来の企業が多くの画期的な新薬の開発に成功し、世界的なブロックバスター(画期的な薬効を持つ新薬を開発する製薬会社)に育っています。

今冬は年明け辺りからインフルエンザが本格的に流行し、1月の最終週には週間ベースで患者の数が過去最多を記録しました。これまで、国内ではインフルエンザ治療薬は「タミフル」が主流でしたが、今シーズンは、治療効果がタミフルと遜色なく、1回の経口投与で感染の抑止力は従来薬を上回る「ゾフルーザ」という新薬が一気にトップシェアを奪いました。

画期的なインフル治療薬は大阪から

このゾフルーザは、今でも道修町に本社を構え、本社ビルの植え込みには「大阪薬科大学発祥の地」の石碑が設置されている塩野義製薬が開発、昨年3月に発売した新しいメカニズムのインフルエンザ治療薬です。今後、インフル治療薬の定番として、さらにシェアを高めていくでしょう。

予防投与と小児新用量についての最終的な臨床試験も順調に進捗しているようです。さらに、米国でも承認を取得して昨年11月中旬から販売を開始しており、グローバル展開も注目されます。

なお、米国をはじめ海外での販売については、スイスに本社を置く世界的な製薬大手のロシュが契約に基づいて担当し、塩野義製薬は販売額に応じたロイヤリティを受け取ることになります。

ちなみに、タミフルはロシュの主力商品の1つでもあります。同社が販売権を取得したということは、タミフルに代わる次のインフル治療薬としてゾフルーザの将来性を認めたということではないでしょうか。グローバルレベルでの活躍が期待されるところです。

インフルエンザの次は花粉

猛威を振るったインフルエンザも、その流行の勢いがようやく下火になりつつあるようです。しかし、インフルエンザシーズンが終わりかけてきたと思ったら、今度は本格的な花粉シーズンがやってきます。まさに、一難去って、また一難、ということでしょうか。

今年は例年よりも多い花粉の飛散が予想されており、花粉症の人たちにとってはつらい春になりそうです。多くの人たちが悩む花粉症なので、その対策としての医薬品やグッズは年々多様化し、市場規模も大きくなっているようです。

この花粉症シーズンに活躍するのがロート製薬です。道修町ではありませんが、大阪市に本社を置き、目薬など花粉症関連商品では国内トップクラスです。例年よりも花粉の飛散量が多くなれば、関連製品の売上高は例年よりも大きくなるでしょう。

ほかにも、独自の製品開発とユニークなネーミングで全国的にも知名度が高く、「熱さまシート」や「アンメルツ」などが訪日中国人にとって必ず買うべき「神薬」と呼ばれている小林製薬も、本社は道修町です。大阪、関西には、キラリと光るような存在感を示すヘルスケア関連の会社が数多くあります。ぜひ、注目してみてください。