はじめに

「織り込み済み」を逆手に取り、投資のチャンスと考える

株式市場で投資の成果を上げるには、まだコンセンサスとなっていない段階で株式を買い(売り)、コンセンサスが形成されたときに売る(買う)という方法があります。AIを駆使したり、アナリストなどの専門家集団を抱えて、いち早く業績の変化をとらえたりすることで収益を上げようとしている会社もあります。

一般の投資家はこうした手法をとることは難しいものの、市場が悪材料を織り込んだタイミングで投資する手法をとることは可能でしょう。例えば、日経平均株価で見るとPBR(株価純資産倍率)の水準から、悪材料の織り込み度合いをある程度把握することができます。これまでの推移から、解散価値を測る目安であるPBR1倍前後に相当する日経平均株価がおおよその下限ラインとなっており、その水準だとかなり悪材料を織り込んだという判断になります。

過去、日経平均PBR1倍程度となったのは、市場が織り込んでいない衝撃が走った時期です。このタイミングで投資に踏み切ることはためらわれるかもしれませんが、悪材料を織り込んだとみられる時期に投資して、株式市場が回復するのをじっと待つといった長期の視点での投資を検討してみてはいかがでしょうか。織り込んでいない悪材料が出てきて、株価が下がるリスクは意外に小さいかもしれません。

図表4 日経平均株価とPBR1倍水準

<文:投資情報部 花岡幸子>

この記事の感想を教えてください。