はじめに

公立一貫校の問題に慣れることが必要

特徴の一つは、適性検査型と言われる公立一貫校の出題と同じ考え方に基づいていて、基準準拠評価つまり検定の考え方での評価で、ルーブリック評価と言われる評価法が用いられます。

教科型でなく総合型で、解答は必ずしも一つではない、いわゆるオープンエンドです。これは公立一貫校の適性検査の出題例がこれまで累積されてきていますから、そうした問題に慣れておく必要があります。

この問題はこれまでの教科型と違って、「知識」や「技能」を問うているのではなく、それらを活用して提出された問題を探求したり新たな問題を発見したりすることに重点が置かれていますから、「知識」のストックは必ずしも問われず、むしろどのようにすれば必要な「知識」を索引できるか、どのような文脈で「概念」が用いられるかが重要ですから、言ってみればパソコンを利用して解答してもよいわけです。

そのような考え方に基づいてテストが作られていれば、これは適性検査と名がつけられなくても適性検査型と考えてよいわけですから、それへの対応も適性検査の良問で応用力を磨いておくのが良策と言えます。

そしてその考え方は学力診断の今の標準と言ってよいと思います。これまで入試に利用されなかったのは、これですと相対評価のような量的な把握ができないため定員内に合格者を収められないという現実的な問題があったからですね。

しかし、中位の試験ではそもそも応募者も少なく定員超過を心配しなくていいので活用が広がっているのです。一方、公立一貫校は適性検査だけでなく内申も利用して選抜しているため、量的なコントロールができるのです。

「教科型」知性の高い子どもは従来の対応で充分可能

さて、思考力入試と括られる入試方法にはいわば行動観察による選抜も含まれます。これは現在の「知性」が一人の頭の中で生まれるというより、集合的な議論、調査、アイディア交換などによって生まれ、むしろこうした様々な「知」のソースをいかに応用知として解決策として提出していけるか、そこに「知性」があると考えられるようになりました。

そのような「知性」は、「教科型」の認知スキルもさることながらコミュニケーション能力など非認知スキルが重要になります。そのようなことも含めた「知性」を測ることが需要だと思われていますが、これにはこれまでのペーパーテストでは測れない能力ですから「行動観察」的なパフォーマンス評価が必要となり、一回の試験では評価が難しいとも言えます。

したがって、こうした評価には、それに相応しいコンテスト型の発表の機会での評価を参考にすることも考えられます。むしろ、そうした業績こそが評価され、試験はそれを確認する程度ということになります。

この形の思考力テストは従って、今まで以上に広がるためにはコンテストがそれなりの内容を持った社会的に認められる必要があります。これを各中学が参考として評価するというスタイルですね。

実は中長期的に見ると、既に見たように適性検査型や思考力型(正確には集合知)が選抜の主流と考えてよいと思います。

しかし、「教科型」知性の高い子は、後者の評価も高いのでそこは従来型で大丈夫です。問題は費用なども含めてそこで評価を受けるに至らない潜在層を選抜できないことです。ここはそれこそ「集合知」で解決策を見出す必要がありそうです。

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