はじめに

近年、小学校から大学まで、英語教育の改革に注目が集まっています。

中学受験の世界も同様に、英語入試の動きは加速しています。帰国子女入試に留まらず、一般入試でも従来の4教科型、2教科型に加え、英語が選択できる学校が増えています。

特に、今年は大きな動きがあったといえるでしょう。その狙いとは何なのか、今後更に加速するのか、森上教育研究所のタカさんとモリさんに解説してもらいます。

今回の中学受験に関する数字…660人


今年の英語必須入試受験者660人、前年比1.8倍に!

<タカの目>(高橋真実)

前回ご紹介した思考力入試と同じく、昨今注目を集めているのが英語入試です。

以前から英語と他の教科のいずれかを選択する入試を行う学校はあり、ごく少数の学校で英語を必須とする入試が行われてきました。しかし、大学入試改革において、英語4技能を問う外部資格試験が活用されることが決まると、中学入試でも英語を必須とするものが徐々に広まってきました。

今年は、首都圏45校でのべ67回の英語必須入試が行われました。英語必須入試の受験者は約660人、前年比でみると1.8倍と増加しています。

英語必須入試である程度受験生を集めている学校の多くは女子校ですが、いち早く英語入試を導入した東京都市大付属中学校やインターナショナルコースがある広尾学園など、男子校や共学校でも英語入試の受験生が増えつつあります。

受験の方式も多様化しています。リスニングを含むペーパー・テストを行う学校もありますが、ネイティブ・スピーカーの教員による面接、グループワークを行う学校も少なくありません。中には、英検の取得級によって英語の試験を免除されるというところもあります。

山脇学園では今年4回目となる英語入試で「英検3 級以上の合格書の提出」を必須とし、当日の英語の試験を廃止しました。

これまで英語入試を行ってきた学校からは、いずれも高い英語力を持った小学生がチャレンジしているとの声が聞かれます。

今年の英語入試で最も注目されたのは、慶應義塾湘南藤沢中等部の英語選択入試でした。2019年4月に慶應義塾横浜初等部から100名あまりの卒業生が入学するのを機に、今年度から4科入試の他に、国語、算数、英語の3科入試が選択できるようになりました。

試験のレベルは英検2~準1級程度で、リスニング、リーディング、グラマー、ボキャブラリー、ライティングと、およそ高校・大学入試のような内容になっています。

トップ層の学校がこのように英語入試を行うことによって、追随する学校が出てくる可能性が考えられます。特に、これまで英語入試があまり行われてこなかった神奈川県内の私立中学がどのように動くかは注目されるところです。

東京都は2021年度から中学生に対して英語スピーキングテストを行い、その結果を都立高校入試に活用すると発表しています。こうした高校入試の変化が中学入試にも影響を及ぼすことは必至であり、来年度入試に向けて英語入試を行う学校や試験方式に変化があることが予想され、今後の動きがとても気になるところです。

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