はじめに
マニア心をくすぐる刻印「〇〇帳」
もう1つ注目しておきたいのが、数十年に一度しかない「改元」を残る形で記録しておこうという「刻印消費」です。
寺社仏閣で元号付きのご朱印を書いてもらえる「ご朱印帳」は、すでに昨年からブームとなっているようで、2018年の楽天市場における販売額は前年比20.4%増でした。これに加えて最近盛り上がってきているのが、神社などで引いたおみくじを蒐集するための「おみくじ帳」です。
近年はおみくじも神社ごとにさまざまなデザインのものが増えてきており、ご朱印と同様、おみくじの中に描かれた絵などがマニア心をくすぐるアイテムとなっているとのこと。縁起物ということもあり、縁起の良い改元に合わせて需要がさらに膨らみそうだといいます。
また、「平成最後の」「令和最初の」というキーワードで、結婚を考えているカップルも多いもよう。楽天市場の販売額では、「婚姻届」は2018年に前年比40.6%増を記録。せっかくの改元のタイミングなので、婚姻届も役所に提出して終わりではなく、記念に自分たち用にもう1部、作っておこうという需要が高まっています。
さらに、「タイムカプセル」(2018年の検索数は前年比12.2%増)や「印鑑」(同24.9%増)、「切手」なども検索が伸びているそうです。逆に、「平成」と刷られている書類を処分するニーズから、「シュレッダー」の売れ行きも伸びてきているといいます。
連休用ミールキットが売れるワケ
令和元年最初のトピックといえば、最大10連休となるゴールデンウィークも忘れてはいけません。例年以上の大型連休に関連した消費も、熱さを増しています。
たとえば、1月1日~2月10日の楽天市場での検索数が前年同期比20%増となったのが「車中泊用のマットレス」。すでにゴールデンウィーク中の予約は満杯という宿も多いため、それなら気候も良い時期なので、マイカーやレンタカーで泊まってしまおうという需要が高まっているようです。
また、「レトルト食品」や「ミールキット」(2019年3月の楽天市場での販売額は前年同月の9.4倍)、「低温調理機」(2019年1月の同販売額は同5.5倍)なども売れています。これは、働く女性の多い保育や小売りの職場では連休中も出勤するケースが多く、その間は旦那さんが家事を担当するから、なのだといいます。
ほかに売れているのが「金庫」(2019年2月の同販売額は同11.2%増)。連休が長すぎるため、ATMにお金がなくなることを心配して、自宅で現金を多めに持っておこうというニーズがあるようです。
改元をきっかけにした消費も拡大
改元を機に、新しいことを始めようという「きっかけ消費」も盛り上がっています。楽天市場では、結婚式関連のキーワード検索が増加。3月14日のホワイトデーの2週間前には、「指輪」を購入する男性が前年の2.5倍に膨らんだといいます。
これは、平成の最後に駆け込みでプロポーズしようというニーズが背景にあります。というのも、恋愛に関連するイベントで改元前にやって来るのはホワイトデーが最後だったから。改元後は、令和最初のプロポーズをしようという需要が高まるかもしれません。
ちなみに、令和元年に子供を産もうと思うと、妊娠のリミットは3月中。そのため、「妊娠検査薬」の検索数は、2018年に前年比16.9%増を記録したそうです。
お祝いムードの高まりで「ご祝儀袋」の検索数も伸びている
清水さんによると、改元後は「楽器」や「貯蓄・投資」「筋トレ」「退職」「美容」などに関連した消費も盛り上がるとみられます。特に、ゴールデンウィークには韓国やタイに整形旅行に行く人が増えそうだといいます。
改元という数十年に一度しか経験することのできない機会。漫然と10連休を過ごすのではなく、こうしたトレンドに乗ってみると、これまでと少し違う生活やビジネスのヒントが眠っているかもしれません。