はじめに

糖化ストレスを受けやすい生活習慣とは?

以上のように怖い「糖化ストレス」ですが、私たちの何気ない日常生活にその原因が潜んでいます。米井教授が指摘する、糖化ストレスを招きやすい代表的な生活習慣を見ていきましょう。

朝ごはんをよく抜く。1日1食健康法にはまっている

私たちが食べたものは体内で糖に変わり血管中を流れます。このため、だれでも食後は血糖値が上昇します。この上昇の度合いとスピードが速いと(「血糖スパイク」といわれます)強い糖化ストレスを受けます。

ダイエットの方法として朝食を抜いたり、「1日1食健康法」を採用する人がいますが、糖化ストレスの面からみれば、おすすめできません。長時間空腹でいると、体は低血糖状態を避けるためにグルカゴンという血糖値を上げるホルモンを出します。この状態で食事を摂ると、血糖値の急激な上昇を招き、AGEsがたくさんできてしまうからです。

血糖スパイクを避けるためには、朝食はしっかりと、できればご飯だけでなくおかずと一緒に食べることを米井教授はすすめています。

昼食はかけそばかぶっかけうどん

炭水化物の過剰摂取は、新陳代謝を促す成長ホルモンの分泌を抑制するので、老化につながります。中高年になると、昼食にはさっぱりとして食べやすいそばやうどんを選びがちですが、これは炭水化物の摂りすぎにつながります。気をつけたいのは白米の食べすぎだけではありません。

メニューを選ぶとき、炭水化物だけでなく肉や卵、豆類などが含まれているものを選ぶようにすると、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。「かけそば」よりは「月見そば」を選びましょう。

甘いジュースを一気飲みする

甘いジュースのパッケージには「炭水化物量10g」などの表記がありますが、これは100mlあたり10gという意味です。500mlのペットボトルなら50gのブドウ糖が入っていますので、砂糖を噛まずに飲むのと変わりません。血糖値は瞬間的に飛び跳ねます。

スマホをいじりながら寝る

良質な睡眠が健康にとって大事なのはいうまでもありませんが、それは糖化ストレスの面からもいえます。実験によって、睡眠時間が不足すると食後の血糖値が急激に上がる血糖スパイクが起きやすいことが確認されています。

「メラトニン」というホルモンがあります。暗くなると分泌され、明るいと分泌が止まる眠りに深く関係するホルモンです。夜、寝る直前にベッドの中でスマホを見ていないでしょうか? こうしたことを繰り返していると、十分な量のメラトニンが分泌されません。そうなると睡眠時間が不足し、睡眠の質も低下してしまいます。


これらの生活習慣は、ちょっとした心がけによって改善できるものです。それが「病的な老化」の予防や改善につながり、若さを取り戻したり、若々しさをキープすることができます。

『最新医学が教える 最強のアンチエイジング』で米井教授は、冒頭近くにあげたように、糖化ストレスなど5つの老化の危険因子と、それから身を守る方法を、最新のエビデンスに基づいて解説しています。

「最近老けてきたな」「今よりもうちょっと若く見られたいな」と思ったら、ぜひ生活習慣の見直しを。そのときの参考になる1冊です。

最新医学が教える 最強のアンチエイジング 米井嘉一 著


「老化は病気にすぎない。だから治せばいい」。老化のメカニズムを30年以上にわたって研究する抗加齢医学の第一人者が明かす老化の危険因子の見つけ方とエビデンスに基づいた若返りの方法。「若々しい人」「老けている人」、どちらになるかはアナタ次第。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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