はじめに
10連休を終え、新元号になって最初の月の5月。連休明けから日経平均株価は続落し、5月は最初の営業日から6営業日連続で前日比マイナスとなり、その間の下落幅は1,000円を越えました。5月15日に初めて前日比プラスで取引を終えましたが、米中貿易戦争の結論は未だに見えておらず、今回の続落を受けて不安になっている投資家も多いと思います。
また、これから投資を始めてみようと思っていた人たちにとっても、やはり投資は恐い、危ないという印象を持ってしまったかもしれません。しかし、相場は常に上下に波を打つもので、一方方向にずっと動き続けるものではありません。今回は投資家がいつも心掛けるべきことを共有したいと思います。
相場に絶対は存在しない
連休前には様々な相場見通しが語られていました。前例がないほどの長い連休なので、過去のデータに基づいて連休明けは大きく下落する可能性が高いという声もあれば、新元号開始でご祝儀相場になるという声もありました。
前者には一応根拠はあります。過去10年の連休前と連休明けの日経平均株価の騰落率をみると、上昇したのが3年、下落したのが7年となっており、下落した方が多いのです。しかも、下落した7年のうち5年は1.0%以上下落しており、連休前にポジションを一時的に現金に戻すことを推奨する声もありました。
しかし、後者については昭和から平成に代わる時と、平成から令和に移行する現代では明らかに状況が違っており、すこしオカルトチックな意見でしかありません。
このように、プロと呼ばれるような人々がさまざまなシナリオを語っていましたが、蓋を開けてみれば連休後は大きく続落し、その原因はトランプ大統領がtwitterで中国への関税率を引き上げると呟いたことがキッカケでした。
プロがさまざまなデータや経験則を用いても相場の先行きを正確に予測することはできません。これまでに何度も書いてきましたが、相場の先行きや株価の動きについて「絶対」という言葉を使う人は信じてはいけません。
相場の波にまどわされない
誰も正確に予測できないのが相場ですが、常に上下に波を打ちながら動いていることは日経平均株価のチャートを見ればわかります。この波が投資家の心理をまどわせるのです。そして、上昇するときはコツコツと上昇していき、下落するときは一気にガクッと下がるのがまた、投資家の不安を煽りやすいのでしょう。
不規則に波打つチャートばかりを眺めていると、上がり始めた時に根拠もなく自分も買ってみようと投資したり、数日続落しただけで焦って売ってしまったりと、相場の動きを後追いする形になりがちです。このようなスタイルはなかなか良い成績を残せません。
投機ではなく投資で資産運用することが目的であれば、割安で利益の成長余地の大きいものに長期の視点で投資をします。何年も投資をしていると、予期しないイベントが起こり、相場全体が大きく下落することもありますが、明らかに割安なところまで株価が下がると、環境が落ち着くころに賢い投資家が投資をしてきます。過去の大きな下落のあとをチャートで確認してみてください。過去の実績が上記のことを証明していると思います。相場の波に惑わされず、割安で利益成長が期待できるものを長期で保有するのが重要なのです。