はじめに

「リスク度」40%台は2エリア

次に、「そう思う」「ややそう思う」の合計の割合を計算して、少ない順に並べてみます。「妻がワンオペになるかもしれない」もしくは「マイホーム夫が苦戦するかもしれない」リスクは相対的にはやや低め、というエリアになります。

少ない順

しかし、一番少ない岩手県でも47%、およそ半分の男性が男性の育児・家事にあまり好意的ではない、ということが示されています。

少ない順の上位は、1次産業が比較的優勢なエリアが多いことが見て取れます。1次産業は基本的に家族営業(共働き夫婦)を前提としていますので、サラリーマン家庭中心のエリアよりは家事や育児に関して「やれる人がやる」という感覚はあるのかもしれません。

また意外なことに、若い男女に大人気で、都道府県を超える年間移動数の半数以上を占める転出先エリアである東京都でさえも、全国平均並みです。

東京都は活躍する男女が多そうなイメージですが、女性に関しては「仕事、家事、育児をすべてこなすワンオペ・スーパーウーマンまでも半数以上の男性から期待されそう」という意味で、特に活躍する女性にとっては「そんなはずじゃなかった」の声が生じやすいであろうハイリスク・エリアといえます。

“コップの水の量”をどうとらえるか

この結果を見て、「実に嘆かわしい」と考えるか、育児・家事に関して性別を基準とした分担価値観が賛成・反対でほぼ半数に分かれていますので、「価値観が半々に分かれたのだ。そんなものか」ととらえるか、読者によって異なると思います。

ただ、どんなに「家事・育児は女性のもの」という意識が強いエリアであっても、2人に1人は「ワンオペ妻は嫌だ」「マイホーム夫になりたい」という男女に理解はあるようだ、というデータ結果でもあります。

決して「ワンオペ妻は嫌だ」「マイホーム夫になりたい」な2人は四面楚歌になるのだ、というデータではありませんので、悲観するのではなく、「幸せの形の目指し方は人それぞれ。どちらの考えもそれなりの数がいるので、相互の理解を進めていこう」と考えたほうが、心が楽かもしれません。

もちろん、楽観視して何も対策をしない、というわけではありません。やはり平均的に2人に1人くらいは理解がないことに腹をくくり、「同じ都道府県でも、より理解が得られそうな相手とお付き合いする」「理解のありそうな職場・地域に就職する・住む」という選択は、当たり前に検討したい行動です。

どんな時も、コップに半分まで注がれた水を見て「半分しかないなんて!」と思うのではなく、「半分はある!」というメンタリティさえ持っていれば、愛する2人で乗り越える壁は、同じ高さであってもより低く感じられるようになるかもしれません。

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