はじめに

ロート製薬、困惑も「うれしい」

ロート製薬の広報・CSV推進部の矢野絢子さんは、男性からの反響について困惑しながらも「みんなで驚いているというのが正直なところです。使っていただいているのはうれしい」と話します。

同社は以前から、男性向け加齢臭対策のボディソープ「デ・オウ」や、制汗剤の「リフレア」を販売するなど、においケアの研究を続けてきました。女性の「加齢臭」に着目したのは、男性だけでなく女性も加齢による体臭の変化を自覚していると、調査で判明したのがきっかけでした。

ロート製薬の矢野絢子さん

体臭が変化する原因を解明するため、女性が1日着用した布のサンプルを集め、汗のにおいを官能評価する中でわかったのが、女性の若いころ特有の甘い香り「SWEET臭」の存在です。ピーチやココナッツのような甘い香りは年齢とともに減少し、その「曲がり角」は35歳付近にあるといいます。

さらに、甘い香りの原因が「ラクトンC10」「ラクトンC11」という成分であることも発見しました。男性の加齢臭は「ノネナール」という物質の増加が主な原因とされますが、女性に関しては年齢による違いはあまり見られなかったといいます。

こうした研究をもとに開発されたデオコは、白泥(ホワイトクレイ)でにおいの元や汚れを吸着するのに加え、ラクトンを配合することで年齢とともに失われた甘い香りを補うというわけです。

ラクトンの香りが魅力を左右

同社の研究によると、ラクトンの香りは女性の見た目の印象にも影響。ノネナール、石鹸香料、ラクトンの香りのいずれかを嗅ぎながら女性の写真を見て、「女性らしさ」「若々しさ」「魅力度」を評価する調査で、ラクトンはそれらすべての印象を上げる結果になったといいます。

「女性が活躍する時代。お仕事する姿、おかあさんとしての姿、そしてひとりの女性として、毎日をがんばる女性をこころから応援したい」というコンセプトを打ち出すデオコ。購入者層は有職者の女性が多く、人前に出る仕事をしているそうです。

デオコ

「においに対する価値観が変わってきています。自分のにおいが印象を左右すると思ったり、においに対する不安がないことが自信につながる。積極的にケアすることで前向きな生活をしてもらえたらという願いを商品に込めています」(矢野さん)

ちなみに、男性の場合は皮脂が多く、加齢とともに加齢臭のもととなるノネナールが増加するため、「においのメカニズムを考えると、男性にはデ・オウがおすすめ」だそう。

ネットで意外な方向で注目されてしまい購買層が拡大したデオコ。体臭ケアが重要になる夏本番に向けて、ますます需要が高まるかもしれません。

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