はじめに
イタリア料理チェーン「サイゼリヤ」の定番メニュー「真イカのパプリカソース」が、次回のメニュー改定で販売終了となることがわかりました。
2003年に提供を開始し、コスパの良いヘルシーメニューとして根強い人気のある商品ですが、終売に至った背景に何があるのでしょうか。サイゼリヤの広報担当者に取材しました。
「原料品質を下げてまで販売すべきではない」
「真イカのパプリカソース」(184円、税別、以下同)は、同価格の「柔らか青豆の温サラダ」と並ぶ、サイゼリヤの前菜メニューで定番の商品。船内で急速冷凍した「船凍イカ」を使用し、弾力がありつつも柔らかな食感が売りです。単品で食べるほかに、パスタと組み合わせるなどのアレンジも人気でした。
販売終了の噂がネット上で広がると、「真イカのパプリカソース絶対食べるやつじゃん……何でなくなるの……?」「『真イカのパプリカソース』が本当に美味しいんだけど、メニューから消えるらしくてつらい」といったツイートの投稿が相次ぎました。
サイゼリヤの広報担当者によると、同商品は次回の新メニューへの改定のタイミングで終売になります。理由については「漁獲高が激減したため、当社が使用していた高品質な船凍イカを安定的に調達することが難しくなりました。社内で検討を重ねた末、原料品質を下げてまで同じ商品を販売すべきではないと判断し、今回の決定に至りました」と説明します。
そのうえで「長年の間、お客様に御支持頂いた商品の終了は、誠に申し訳ございませんが、今後もお客様に喜んで頂ける商品作りに努める所存でございます」としています。
メニューの改定でイカを使用した「シーフードサラダ」(555円)も販売終了との噂が出ていますが、広報担当者はMONEY PLUSの質問に対して無回答でした。
イカの不漁で終売や値上げが続く
スルメイカの漁獲量はここ数年、壊滅的な状態が続いています。農林水産省の統計によると、2010年は20万トンあったスルメイカの漁獲量が、2015年は12万9,000トン、2017年は6万4,000トンへと激減。昨年は4万6,000トンで、過去最低を記録しています。
不漁の原因と考えられているのは、スルメイカの産卵場所である東シナ海の水温低下です。5〜10月に日本海で水揚げされるスルメイカは、前年秋冬の東シナ海で生まれますが、水温低下で産卵や生育に影響が出ていると指摘されています。
こうした漁獲量の減少が卸値にも影響を与えています。水産庁の調査によると、2010年のスルメイカ(生鮮)の卸売価格は1キロ225円でしたが、2016年に同519円と例年の倍近い価格へと高騰。2017年以降も、価格は低下していません。
原料価格高騰のあおりを受け、「よっちゃんイカ」の愛称で知られる「カットよっちゃん」が2018年6月から実質値上げに踏み切っています。10グラム入り(30円)と25グラム入り(60円)を終売し、15グラム入り(50円)だけに絞りました。2019年3月には「スーパーカップ 大盛りいか焼そば」も販売終了。理由はイカの高騰が原因とされています。
値段高騰で徐々に食卓から姿を消していくイカ。いつになったら価格が元の価格帯に戻るのか、イカ好きにとって落ち着かない日が続きそうです。