はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、女手ひとつで育ててくれた母の老後が気になるという36歳の未婚男性。経済的な援助をしたいと思っていますが、これから自身の結婚や子育てのことを考えると、両立できるか不安だといいます。マネーフォワードから生まれたお金の相談窓口『mirai talk』のFPがお答えします。
現在は独身ですが、3年以内には結婚を考えています。ただ、早くに離婚した母の老後が気がかりです。本人は「80歳ころから老人ホームでゆっくり暮らしたい。お金のことは心配しなくていい」と言っていますが、実際にいくらくらいかかるものなのでしょうか。多少でも援助してあげたいと思う半面、自分がこれから結婚や子育てをすることになったらやっていけるのかという不安もあります。
母が80歳になる8年後に、まとまった現金が手元にあった方がいいと思い、ここ2年くらいは毎年200万円ほど貯めています。ただ、ドル建ての保険は継続するべきか迷っています。もう少し株式や投資信託にまわした方がいいのか、それとも現金を増やしていった方がいいのか、アドバイスをお願いします。
〈相談者プロフィール〉
・男性、36歳、未婚 ※母親(72歳)は別の賃貸マンションに居住
・職業:会社員
・毎月の手取り金額:43万円
・年間の手取りボーナス額:130万円
【資産状況】
・預貯金:530万円
・有価証券:400万円
(株式:約300万円、投資信託:約100万円)
・解約返戻金:8.7万米ドル(約960万円)
【支出の内訳】
・住居費:8.9万円
・保険:10.2万円
(医療保険、米ドル建て貯蓄型保険)
・教育費:1万円
・通信費:1.2万円(母親のと2台分)
・食費:2.5万円
・水道光熱費:0.7万円
・日用品:0.5万円
・趣味・娯楽:2万円
・衣服・美容:1万円
・健康・医療:0.5万円
・交通費:0.5万円
・交際費:3.5万円
・使途不明金:0.5万円
・貯金:10万円
FP: ご相談ありがとうございます。miraitalkファイナンシャルプランナーの福田です。お母様の老後、ご自身の将来のこと、あわせて考えていくことは大変ですね。
相談者さんにご兄弟がいるのかどうかにより、また状況は変わると思いますが、一般的なことで考えてみましょう。
2種類ある老人ホーム、違いは何?
お母様は80歳ぐらいから老人ホームに入りたいということですが、老人ホームにも公的なものと民間のものがあることをご存知でしょうか。費用は、やはり公的なものの方が安いです。
公的なものは、国の補助金を利用して運営しているため、最初に支払う入居費用があまりかからず、月額利用料も8万円~15万円程度と金額が抑えられています。生計状況によっては補助も受けられます。要介護度が3以上程度の人が対象で、入所までの待ち期間が長めである場合が多いです。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、ケアハウスなどが該当します。
民間のものは、民間企業が運営しているもので、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが該当します。介護認定を受けていない自立した人も入所できますが、入所費用が数千万円かかる施設があったり、月額利用料も15万円~40万円程かかったりと施設により金額もまちまちです。
お母様の体調によっても利用できる施設が異なりますが、どのような施設に入りたいかによって予定しておく金額も違ってきます。早めに見学に行くなどして、希望条件を固めておくとよいかもしれません。