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G20明けの日経平均は急伸、勢いはしばらく続く?

“二重の期待”が相場の追い風に

7月最初の株式市場では、日経平均株価が前日比454円高と急伸しました。週末に開催されたG20大阪サミットで、これまで懸案とされてきた米中貿易協議に大きな進展が見られたためです。

しかし、マーケットには相場の先行きを慎重に見る向きもあるようです。個人投資家は当面の間、株式市場とどのように向き合ったらよいのでしょうか。


市場の期待した通りの結果に

6月29日、G20大阪サミットで日本を訪れていた米国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席は首脳会談を行い、中断していた貿易協議を再開させることで合意しました。今回の会談結果をみるうえでのポイントは、下記の6点です。

(1)5月に中断していた貿易協議の再開を確認
(2)米国による追加関税の第4弾は先送り
(3)ファーウェイに対しては安全保障を脅かさない範囲で、米国企業による部品供給を容認
(4)争点は、決着後の関税の取り扱いや、違反時の罰則規定、中国の産業補助金問題など
(5)協議にまつわる新たな期限については不明
(6)11月16~17日にチリでAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が開催予定

世界が注目した今回の米中首脳会談は、おおむね市場が望んだ通りの好意的な結果を残したといえます。会談への不透明感から積極的な売買が手控えられてきた株式市場では、ひとまず安心感が広がり、投資家のセンチメントは当面強気に傾くことが予想されます。

5月に協議が中断する前の日経平均株価は、2万2,200円近辺で推移していましたので、目先はその水準の早期回復が課題となりそうです。

米中協議の次の焦点は?

米中の貿易協議は4月の段階で9割は決着したとみなされていましたが、合意後の関税の取り扱いや、合意に違反した時の罰則条項などで、双方の主張が食い違い、中断した経緯があります。そのため、協議再開後も双方がこの溝を埋められるかどうか、慎重に見守っていく必要があるでしょう。

来年に大統領選を控えるトランプ大統領にとっては、この問題をしかるべき時期に解決して、支持を高めるための次なる施策に打って出たいところです。また中国にとっても、問題の長期化によって経済が消耗していく事態は避けたいはずです。

両者が再び顔を合わせるのは、11月にチリで開催されるAPEC首脳会議となる見通し。この会議が、合意に向けての大きな節目になると思われます。

最終的なゴールに到達するには今しばらく時間がかかりそうで、株式市場では予断を許さない状況は続くとみられます。その一方で、今回の会談の結果によってもたらされる相場へのプラス効果も、ある程度持続すると予想されます。

市場に吹く“二重の追い風”の正体

米国をはじめとする各国の中央銀行は、景気減速懸念を払拭すべく、緩和的な金融政策に舵を切っています。貿易協議の決着を見届けるまでは、経済指標が多少改善しようとも、簡単に方向転換はできないと見込まれるためです。

利上げ回数

そうなると、株式市場は「貿易協議の進展」と「金融緩和」という“二重の期待”の追い風を受けることになります。仮に、7月下旬から本格化する4~6月期決算発表が振るわなかったとしても、“二重の期待”を背景に、市場参加者は足元の業績不振をさほど問題視しない可能性もあります。

日本のように相対的に出遅れた市場や、中国関連で敬遠されてきたセクターには、投資妙味が高まりやすいと考えられます。幸先の良いスタートを切った7月相場は、以上のような理由から、6月に引き続き良好なパフォーマンスが期待できそうです。

<文:投資情報部 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和>

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