はじめに

堅実企業が新たな挑戦

現在、全国に約100ヵ所ある店舗の大半は首都圏に集中しています。関西圏は14ありますが、あとは名古屋に4、仙台に3あるだけです。そんなHUB。九州初出店となった店が、今年4月27日にオープンした、「福岡ソフトバンクホークス」の本拠地であるヤフオク!ドーム内の店舗です。

球場内
ハブ店内から見た球場内の様子

場所はバックスクリーン下。窓際の座席からはグラウンドが見下ろせて、ホームまで一望できます。広さは115坪もあり、国内最大級です。

しかも意外なことに、スタジアム内への出店もこれが初。親和性が高そうなJリーグクラブの本拠地スタジアムには、まだ出店したことがないのです。Jリーグの本拠地スタジアムは大半が自治体所有ですから、そもそも構造上難しかったり、議会を通さなければならないなど、手続き上のハードルも高い可能性が考えられます。

その点、ヤフオク!ドームは球団が所有していますので、ドーム内のテナント誘致の自由度は高かったのかもしれません。

ハブとホークスの浅からぬ因縁

ヤフオク!ドームとハブは、因縁浅からぬ関係でもあります。ハブはそもそもダイエーの100%子会社として1980年に誕生しているからです。ダイエーの経営悪化に伴い、ダイエーが手放した同社株は転売が繰り返されました。現在は「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングスが発行済み株式の3割を所有しています。

ヤフオク!ドームも全盛期のダイエーが、ホテルや商業施設との3点セットで博多湾に面した広大な埋立地に建設したもの。南海電鉄から買ったプロ野球団・南海ホークスの本拠地を大阪から福岡に移し、その本拠地球場として使うためでした。こちらも紆余曲折を経て、現在は球団自身の所有になっています。

3点セット
ダイエーが建設した「3点セット」

ハブは今シーズン、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地である仙台の「楽天生命パーク宮城」と、東京ヤクルトスワローズの本拠地である「明治神宮野球場」にも進出しています。こちらは店舗ではなく売店のみですが、今後も機会があれば他球場にも出店したい意向です。

他の外食企業が苦戦する中、着実な店舗運営に新しい取り組みが加わり、しかも結果が出ています。春先からの株価上昇は、こうした結果を出してみせたことへの評価でしょう。ラグビーワールドカップ、そして東京五輪の開催期間中は集客効果が高い、さまざまなサービスが投入されるはずですから、高値更新もあるかもしれません。

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