はじめに
燃費も案外悪くない
これならばごくごく日常的な市街地走行をこなしながら、高級SUVを涼しい顔して乗りこなす女性たちのショッピングの足としても使えますし、不快感はまったくありません。冷静さを取り戻し、ゆっくりと流していると荒々しさはほとんど顔を見せません。それに静かな運転をしていると燃費10.0km/リットルに迫る勢いで走ってくれます。まぁ、このクルマのオーナーはあまり気にしないでしょうが、燃費の良さも十分に確認できます。
モニター画面もオプションで装備できる
エアコンの操作もパネルで行う。指紋がけっこう目立つ
しかし冷静に考えればランボルギーニの「ウルス」はそれでいいのかもしれません。あくまでもセレブリティ向けのファッションアイテムのひとつとしてのSUVであって、ごく一部の車好きや走り屋さん達のためのスポーツカーという位置づけはどうやら「ウルス」には似合わないようです。
多くの人がどんな走り方を望んでもキッチリとハイレベルで応えてくれるようにしっかりと調教され、ちゃんと飼い慣らす事が出来る存在となっています。残念ながら、これほど多くの要求に軽自動車、いや普通のクルマは当然応えることはできません。これが2,800万円という価格の秘密なのだと納得しようとしたのですが、やはり私のような庶民にとって、クルマに支払うレベルをとうに超えてしまっています。
年間の保険料は60万円以上
それと同時にある現実を受け入れることになります。私たちはこうした高額車に乗るとき短期の任意保険に加入することがありますが、この「ウルス」を数日、走らせるだけで5万円ほどの保険料がかかります。
何かあれば一大事ですから、安いといえば安いのですが、一年間の保険料は60万円以上と言われます。もはやコンパクトカーの購入ローン代よりも高額かもしれません。消費税でクルマが1台、保険料でもう1台、そして静かに走れば燃費がいいとか喜んでいる場合ではありませんし、第一、そんなことを気にする人は生涯「ウルス」を所有することはないと思います。仕事を終え、メーカーに「ウルス」を無事に返却できたときのあの安堵感は、スーパーSUVを試せた幸福感を凌いでいたのです。