はじめに
ラーメンチェーンを展開する幸楽苑ホールディングス(HD)は、とんかつ専門店「かつや」などを手掛けるアークランドサービスホールディングスと業務提携すると発表しました。
2社がタッグを組むことで、どのような相乗効果が生まれるのでしょうか。9月4日の記者発表会に出席した、幸楽苑HDの新井田昇社長とアークランドの臼井健一郎社長の説明から探ります。
幸楽苑の不採算店舗をからやまに転換
今回の業務提携で幸楽苑HDは、アークランドの運営するからあげ専門店「からやま」のフランチャイズ契約を締結。幸楽苑の不採算店舗をからやまに業態転換し、ドミナント出店しているエリアでの自社内競合を解消することで、経営効率を改善する狙いです。
第1弾として9月13日に愛知県で「からやま岡崎伊賀店」をオープンする予定。新井田社長によると、幸楽苑が中部以西で苦戦する中、特にカニバリゼーションがひどいエリアについて検討した結果、「からやま」の業態が効果的だと考えて「臼井社長にやらせてほしいと話をした」といいます。
新井田社長と臼井社長が初めて会ったのは約4年前。どちらも1973年生まれで、年齢が同じということもあり、意見交換するなど公私ともに交流を深めてきたそうです。
「世代交代が起きる時代になっていく。われわれの時代で新しいチャレンジをやっていこう、業界に風穴を開けたいと意見が一致しました」と、新井田社長は業務提携に至った経緯を語りました。
「節操なくやっているわけではない」
業務提携にあたり、幸楽苑・かつや・からやまの3業態によるコラボレーションメニューの販売も検討中です。
幸楽苑では、かつや監修の「ソースカツ丼」。からやまでは、幸楽苑のラーメンのタレを使った「らーめんからあげ」を展開する予定です。
かつやでは「らーめんコロッケ」という、マッシュしたジャガイモにチャーシューやナルトなどを入れ、幸楽苑のラーメンのタレで味付けした商品を考案中です。「不思議なんですけど、食べるとラーメンの味がします」(臼井社長)。
幸楽苑HDはペッパーフードサービスともフランチャイズ契約を結び、これまでに「いきなり!ステーキ」を16店舗出店。ダイニングイノベーションとは「焼肉ライク」の郊外型モデルを共同開発しており、すでに2店舗オープンさせています。
いずれも自社競合の解消が目的で、アークランドとの業務提携は第3弾となります。これについて新井田社長は、報道陣から意見を求められる前に自ら口を開きました。
「『いろいろやりすぎでは』という意見もありますが、それぞれの立地に応じて一番最適な業態をはめ込み、転換することで全体最適を図れればという思いでやっています。決して節操なくやっているわけではありません」