はじめに

ホテルは日々増え続けています。供給客室数の増加は都市部ほど際立っており、大型のグランドホテルというよりは宿泊に特化したビジネスホテルが目立ちます。客室面積が限定的であり供給客室数ベースでいえば増加しているという結果は納得できます。また、都心の狭い土地や変形地という条件でも建てやすいこともあるのでしょう。一方で、小さなホテルながら、差別化のために様々な趣向を凝らすホテルが多く誕生しています。

中でも注目されるのが「ブティックホテル」というカテゴリー。国際的にも様々な定義付けがなされてきたホテルカテゴリーのワードで、デザイン性の高さ(個性的なデザイン)、独特のコンセプト、文化や趣味・趣向といった価格帯等ではないセグメントのホテルの形態といえます。利用者からみると“泊まることが楽しくなるようなセンスの良いホテル”と位置づけることができるでしょう。 


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今回紹介するのは、2019年4月18日に築地の地へ誕生したその名も“TSUKI”。全31室のスモールブティックホテルです。10階建てで1Fにはレセプションと「Sake-Bar TABLE TSUKI」が、2Fには貸切風呂「YUUYA/湯屋」と湯上り処「YUAGARI」があります。3Fから10Fまでがゲストルームフロアです。客室で印象的なのが木の質感。全体的にシンプルな色遣いの客室なので木のぬくもりでホッとくつろげます。

隅々までの丁寧な設え

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客室で感心するのがアメニティへの気遣い。やわらかな風合い、肌ざわりで世界的に評価されている今治産のタオルを採用しています。オーダーメイドのベッドは適度なホールド感で心地よさは秀逸。無料利用できるミニバーも嬉しいサービス。ファンの多いPOLAのアメニティも採用しています。

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ゲストルームの構成は、シングルベッドルーム(13.5平米)/スーペリアダブルベッドルーム(17平米)/デラックスツインベッドルーム(24平米)/プレミアダブルベッドルーム(28平米)/プレミアツインベッドルーム(28平米)の5タイプ。中でも是非体験いただきたいのがデラックスツイン・プレミアダブル・プレミアツインの3タイプです。この3タイプの客室には“檜風呂”があります。宿泊特化型ホテルといえば、いずこもユニットバスという印象ですが、檜風呂とはホテルコンセプトの体現ともいえます。

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TSUKIのコンセプトは「日本通になるホテル」。“日本の美意識を知る滞在”“日本通になれる体験”をテーマとします。なるほど、確かに激増するインバウンドにとって大変魅力的なテーマであり、訪日外国人旅行者で潤うホテル業界にあってど真ん中のコンセプトなのでしょう。

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しかしながら、筆者としては是非日本人に体験していただきたいホテルです。紙や布のような質感、陰影礼賛に表されるような柔らかい光などを随所に取り入れた館内は、日本の本質とは何か?という問いに着目しているかのよう。伝統とモダンが融合した空間で、日本文化の魅力に触れながら滞在を楽しめる“日本再発見”のスモールホテルといえるでしょう。

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