はじめに

「ごろごろ煮込みチキンカレー」「うまトマハンバーグ定食」など、主力である牛めし以外の期間限定メニューも存在感を放つ松屋。特にカレーは専門店に匹敵するほどの本格的な味付けで、Twitterなどウェブ上で話題になることが少なくありません。

実は運営会社の松屋フーズは、2週間に1回ほどのペースで新商品もしくはキャンペーンを展開する戦略をとっています。期間限定の新商品はどう生み出されているのか、松屋フーズに話を聞きました。


好決算の背景にある開発戦略

松屋のメニューは、牛めしなどの主力商品が売り上げの約8割を占め、残りの約2割となる期間限定商品を定期的に入れ替えています。狙いは利用者を飽きさせないため。松屋フーズ 事業推進部 販売企画グループの邑山由生人グループマネージャーは「入客数やお客様の声を見ていると、2週間に1度ぐらいがいいペースなのかなと。1ヵ月に1度だと飽きられてしまいます」と分析します。

実はこの、2週間に1度のペースで新商品もしくは販促キャンペーンを全店レベルで導入する戦略が、同社の業績を下支えしています。最近の例だと「ごろごろチキンのバターチキンカレー」や「トマトフォンデュソースのビーフハンバーグステーキ定食」といったメニューです。

ごろごろチキンのバターチキンカレー「ごろごろチキンのバターチキンカレー」(販売期間終了)

親会社である松屋フーズホールディングスの2019年4〜6月期の連結業績は、売上高が255億円(前年同期比8.2%増)、本業の儲けを示す営業利益は12.6億円(同67.3%増)と絶好調。既存店売上高の月次データを見ても、2019年8月まで1年にわたって前年同月超えをキープしています。

ごろごろチキンのバターチキンカレーは、同社のカレー専門業態「マイカリー食堂」の人気メニューを松屋らしくアレンジした商品。当初は松屋の約60店舗で限定販売したところ、売り切れになるほどの人気に。「これは売れる」と判断して、期間限定商品として全国販売すると、供給が追いつかなくなるほどのヒットとなりました。

マイカリー食堂

邑山グループマネージャーによると、これまでに投入した期間限定商品の数は500以上にものぼるといいます。新商品発売やキャンペーンは、約20年前は3ヵ月に1回ほどのペースでしたが、社内のシステム化を進め、投入するスパンをだんだんと短縮化。ここ10年ぐらいで2週間に1回のペースに定着しました。

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