はじめに

彼との関係がギクシャク

その件があってから1ヵ月、結婚話は進んでいないそう。

「彼はせいぜい100万くらいしか違わないと思っていたようです。だから倍の200万も違っていたことでショックを受けたみたい。だけどそんなのは私に言わせれば“運”でしかない。彼が新卒で入った会社にそのままいれば、今の私よりきっと給料は高かったはずだし。でもそう言うと、『結局、オレは挫折した人間なんだよ』といじける。私としてはどうしたらいいかわからない状況です」

ナナミさんは彼のことが大好き。彼女が出張から疲れて彼の部屋に直行すると、おいしい料理を作って待っていてくれる、彼女が仕事で悩んでいるとじっくり話を聞いてくれる。そんな彼だから生涯をともにしたいと思ったのです。

「収入の多寡で彼への評価は変わりません。だけど彼のほうは私への評価が変わってしまった。“自分より稼ぐ年下の女”とは対等につきあっていけない、まして結婚などできないと思っているみたい。そういうのって、単に刷り込まれた男のプライドと呼ばれるつまらないものだと思うんですよね。私は彼がそんな考えに浸蝕されている人だと思ってなかった。だから私のほうも彼に対してどう接したらいいのかわからなくなっているんです」

会っても前ほど会話が弾みません。結婚式はもともとするつもりもなかったが、レストランで会費制のパーティを開こうということにはなっていました。でも今となっては「結婚」の「け」の字も出せない感じがしているのでパーティの話など出せないそうです。

プライドが邪魔をして

「ただ、結婚する意思があるのかどうかだけは聞いておきたい。そう思って、つい数日前、彼に聞いたんです。結婚がイヤになったのか、と。そうしたら『ナナミへの気持ちは変わってない。ただ、自分で自分が情けなくて先のことが考えられなくなった』と。

どうして彼が自分を情けなく思うのか私にはわからないと言い返しました。あのまま前の会社にいたら私とは知り合えなかったはずだし、それ以前に心身を病んでいたかもしれない。とりあえず健康で、ふたりでがんばっていけるのだから幸せなことじゃないかって。それでも彼の気持ちはスッキリとはしていないようです。少し時間がほしいと言われてしまいました」

“つまらない男のプライド”にいつまでも惑わされていてはいけないと彼女は考えています。収入は高いに超したことはないけれど、それがその人の価値とイコールではないから。彼女は彼の人としての本質を好きになったのであり、収入は付加価値に過ぎません。

そんなことで気持ちを乱されず、先を見て、手を取り合ってパートナーシップを築いていこうというのが彼女の考え方です。こういう場合、いつも女性のほうが前向き。考えてもしかたがないことにとらわれることなく、彼が素直に彼女に引っ張られていくといいのですが……。

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