はじめに
癒やし系の表情がSUVの見方を変える
おまけにソフトな足まわりのセッティングによって“独特の緩さ”があるフィーリング。“フランス車の猫足”という言葉があります。中には“フランス車はそれぐらいしかない”などと言う人もいますが、このストロークをたっぷりと感じ取れる、ソフトで許容量の高い足回りを一度味わうと癖になります。
むしろ最近は日本車も含め、きっちりと締め上がられた硬めの足回りが多いのですが、C3エアクロスSUVは新鮮に感じるほどでした。コーナーに入ればけっこうボディは傾きますが、じっくりとそこから粘りますから不安感はありません。また起伏のある路面では衝撃を丁寧にいなしながら、涼しい顔で走り抜けますから、ここは都会派SUVオーナーにとっては大きなセールスポイントになるでしょう。
さてもう一点、C3エアクロスSUVにとって強烈な売りとなる要素と言えばスタイルとファッション性だと思います。まず、フロントデザインを見てみると独特の存在感はありますが、決してワイルドで押し出し感の強いタイプではないと思います。ベースとなっているC3を始めとした、最新のシトロエン顔で、どこか癒やし系。それでもフロント下部には少しばかり大げさなプロテクターがあったり、車高が高くなっていてSUVの佇まいとして成立しています。
さらに目を引くのがヘッドライト周りやドアミラー、ルーフレールやCピラーに施されたアクセントカラーが差し色効果を発揮しています。全体としてポップな感じであり、泥道で汚すのが少々はばかられるような表情です。またアクセントカラーはインテリアのシートや吹き出し口などに採用され、デザインとしての連続性を感じさせてくれます。
エクステリアにもキャビンにも効果的なアクセントカラーが使われ、差し色効果でポップな雰囲気に仕上がっている
ちなみにストライプ状に入っているCピラー部分ですが、ポリカーボネート製のリアクオーターウィンドウで、視認性の向上を考えています。視認性を上げたいならストライプ自体入れなくていいだろう、とは考えませんでした。あくまでも見た目、楽しいスタイルが少し優先する辺りはいかにもシトロエン的です。このスタイル、リゾートでもいいのですがひょっとしたら南青山や丸の内辺りのポイントにおいても似合いそうです。これこそC3エアクロスSUVにとっての強みなのかもしれません。