はじめに

考え方を否定から肯定に変えるだけで行動が変わる?

私達は、「~しない」という否定の言葉より、「~する」という肯定の言葉のほうが、行動につながりやすいと言われています。たとえば、「遅刻しない」という言葉ではなく、「10分前に家を出る」であったり、「目覚ましを10分早くかける」などのような言葉です。

または「不健康な食事をしない」ではなく、「3食に少しずつ野菜の量を増やす」といった言葉での行動をイメージしてみてください。しないことを考えるより、することを考えたほうが具体的な動きが思い浮かび、さらに行動しやすそうに感じるのではないでしょうか。

少し恥ずかしさと情けなさも感じますが、私の怠惰な生活も、よくこの考え方で微調整をしています。たとえば、「酔って帰った時にメイクをしたまま寝てしまわない」ではなく、「飲み会がある日は家を出る時に、帰って必ず目につくところにメイク落としシートを置いてから出かける」です。

たったそれだけ?と思うかもしれません。でも百里の道も一歩からです。何か一つでも行動化できればその先に進む1歩を踏めた自信や自分の行動の自動化の力も加わって、メイク落としシートで拭いたら、そのまま洗顔、化粧水、乳液…と私の肌の健康の道が拓けました。もう少し大きな行動でも試しています。

また、私の日頃の生活が疑われてしまいそうですが、恥を忍んで「お酒に関する話」をもう一つご紹介します。「酔っぱらいすぎない」ではなく「電車に乗る距離にあるお気に入りのお店を見つける」です。自宅の近所でお酒を飲むと気も緩み、必然的に(?)酒量が増えてしまうことが多々ありました。しかし、お酒を飲み始めてからの「飲みすぎない」は私にとっては大きな壁です。

そこで、肯定形で考えてみたアイディアが上記の案です。2つ隣の駅にお気に入りのお店を見つけました。1つくらいだと歩いて帰れてしまいますが、2つ隣の駅だと徒歩では遠すぎますし、タクシーだと1メーターでは帰れず高くつきます。なので、終電までには必ず飲み終えて、さらにそこから電車に乗るためにしっかりとした意識を保つ必要があるので、それにあわせてお酒の量は抑えられます。

あなたの意思が弱いだけでは?といわれてしまいそうですが、だからこそ否定形の目標では行動化ができない事があると思い、意識的に肯定形で考えています。

否定形の問題をなぜできないのか…という原因分析をするのではなく、問題を肯定形に変え、肯定形の目標のために何をしていくかという考え方で問題を捉える考え方は、ポジティブ心理学に含まれる解決志向の考え方の1つの要素です。

ぜひ何か否定形で不満に思っていることがあった時には肯定形で考えてみることを試してみませんか?その考え方を試してみた瞬間から、自らの力で幸せを感じる一歩を踏み出しているはずです。不幸にならないようにするのではなく、幸せになるために何をしますか?

<参考文献>
キーワードコレクション心理学フロンティア 新曜社 子安増生、二宮克美編
(※1)https://worldhappiness.report/
(※2)Danner, D.D., Snowdon, D.A., & Friesen, W.V.(2001) Positive emotions in early life and longevity:Findings from the nun study. Journal of Personality and Social psychology. 80, 804-813.

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