はじめに
ドライバーズカーでもいける?
うっかりすると、あまりの快適さで、このまま試乗を終えそうになりましたが、センチュリーの本意ではないかも知れませんが、信号が青に変わったと同時にアクセルをグッと踏み込んでみました。
さぁここで最高出力381ps、最大トルク510Nmの5リッターV8と最高出力224ps、最大トルク300Nmの電動モーターの恐ろしいほどのハイブリッドパワーを見せてくれ! なんて思ったのですが確かにトルクは結構太くて、パワフルさを感じますがエンジンとモーターとのコンビネーションの味付けは、ハイブリッドを作り続けてきたトヨタらしく、実にスムーズ。力はあるのに乱暴ではないんです。
突然、ロケットのような加速をするわけではなく、一気に首が後方に持って行かれるような粗野な部分がないのですが、気が付くとそれなりの速度域に突入している。ブレーキのタッチも踏み込む力を強めるに従い、真綿で締めるようにギュギュギュ~と停まっていきます。「あれ、このクルマ、ドライバーズカーでもいいんじゃないの」、なんて思ってしまいました。
でもやっぱりこのクルマの本質はショーファーカーです。リアシートに座り、装備を少しチェックしてみました。まずは後席の乗員を覆い隠すようなレースのカーテンが何ともお淑やか。ブラックスモークなんかお下品ですわってところだ。もちろんすべて開閉は電動である。このクルマの主役が座るべき場所は左後席。つまり助手席の後ろだが、何にもしなくても足が組める。でもリアシート中央にあるアームレストにあるタッチパネルの液晶画面の中には各種の操作系統が集約されています。
例えば助手席を前方にスライドさせ、ヘッドレストを格納し、オットマンを電動で取り出す、なんてことを後ろのお偉いさんは自在に操作できます。もちろん自分のシートをリクライニングすることも、マッサージ機能を使うことも簡単です。どこまで我が儘なヤツが座るんだ、とシートアレンジを見ただけでも思ってしまうのです。おまけに前席の間には11.6インチのモニターがドンと固定され、まさに走るオーディオルーム。ご主人のために徹底的に尽くす、それがセンチュリーの役割だと理解したところで運転席に戻ります。