はじめに

中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。

首都圏を中心とした来年2月の中学受験の入試本番まで、あと3カ月を切りました。志望校合格へ向け、塾でも家庭でも追い込みをかけている時期でしょう。

今回、取り上げる数字は、近年、定着しつつある入試方法についてです。その人気の背景は何なのでしょうか。

今回の中学受験に関する数字…一科


算数1科目入試は2020年は更に増える予定

<タカの目>(高橋真実)

以前、中学入試における思考力入試英語入試の広がりについて取り上げましたが、他にも注目の入試多様化のトレンドがあります。

それが算数一科入試です。

中学入試では、国語・算数・理科・社会の4教科を課すものが主流です。その中で、算数一教科のみを課す入試は、以前から攻玉社中学校で行われてきました。

これがトレンドとなる潮目になったのは、2018年入試において複数の女子校が算数一科入試を行ったことでした。これを境に、女子校はもとより、男子の進学校でも実施校が増えてきました。2020年の入試ではさらに導入する学校が増える予定で、算数一科入試は入試形態の1つとして定着した感があります。

午後入試の広がりと女子のキャリア意識がトレンドの背景

この入試がトレンドとなった背景にはいくつかの要素があります。

1つは午後入試の広がりです。首都圏の中学入試では、午後入試を行う学校が数多くあります。受験のパターンとしては、午前中にA校の4教科入試を受験、その後B校の2教科(国語・算数あるいは算数・理科など)入試を受けるといったことがこれまでの流れでした。

この午後入試に、算数のみの入試を取り入れることによって、受験生の負担を軽くし、午後入試を受けやすくするという狙いがあります。受験生・保護者の側も早めに決着させたいという傾向が年々高まり、算数一科の午後入試は、このニーズにうまくフィットしたものとなりました。

要因のもう1つは女子のキャリア意識の変化です。女の子、その保護者が娘に期待する進路として理系進学が増えています。女子校でも、人気の進学校は理系の進学実績が多いところが少なくありません。

こうしたキャリア意識の変化に注目し、「リケジョを育てることに力を入れます」ということをアピールする女子校が、そうした姿勢の表明として算数一科入試を積極的に取り入れているケースもあります。

出題内容も、これまでの算数の問題とは異なり、論理的思考力を試す新たなタイプの問題も増えています。

算数一科入試の広がりを後押しする要因は他にもあるのでしょうか。

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