はじめに

厚生労働省によると、10月7~13日までの1週間に、全国5,000の定点医療機関から報告があったインフルエンザ患者数は4,421人となり、前年の同じ時期に比べ7倍の多さとなりました。

新型インフルエンザが世界的に流行した2009年には、株式市場でインフルエンザ関連銘柄が人気化しました。今年は2009年ほどではないものの、早期の流行の兆しから、関連銘柄への関心が高まりそうです。


22都道府県で患者数が増加

1定点当たりの患者数は0.90人と前週の0.99人からは減りましたが、すでに1ヵ月前から流行の目安となる「1.0人」前後で推移しており、今年は例年に比べて早い時期に流行期に入る可能性が指摘されています。

インフルエンザ患者数

都道府県別に見ると、1定点当たりの患者数が最も多いのは沖縄県で18.02人。次いで多いのが鹿児島県4.08人、佐賀県2.77人、福岡県1.76人と、南日本が目立ちます。

とはいえ、新潟県、福島県、石川県、東京都などでも流行の目安となる「1.0人」を上回っており、22都道府県で患者数が前週より増加しました。10月13日までの1週間に学級閉鎖や学年閉鎖を実施した幼児施設や小中学校は全国で102ヵ所と、昨年の同じ時期を大幅に上回っている状況です。

国立感染症研究所は、今年は例年より早くインフルエンザの流行期に入る可能性があるとして、インフルエンザ流行マップを通じた情報提供の開始時期を早めました。厚生労働省はワクチンの供給が滞らないために、10月4日にワクチンの製造メーカーや卸売り業者に対し、供給を前倒しするよう協力を求める文書を出しています。

本命は治療薬メーカー?

感染予防には早期の予防接種が重要となりますが、手洗いやうがい、マスクの着用など日常的な予防もしっかり行うことが大切です。

こうした状況下でまず注目される関連銘柄が、昨年3月に発売となった治療薬「ゾフルーザ」を手がける塩野義製薬(証券コード4507)です。

「ゾフルーザ」は1回の服用で治療できるという利便性で話題となり、昨年のインフルエンザ治療薬の年間売上高で1位となりました。日本、米国に次いで今年8月には台湾でも製造・発売承認を取得。さらに10月16日には、国内で「ゾフルーザ」を予防薬として販売するための承認申請を行ったと発表がありました。

治療薬ではロシュ(スイス)の「タミフル」を日本国内で製造・販売する中外製薬(4519)や、吸入タイプの「イナビル」を手がける第一三共(4568)も関心が高まりそうです。

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