はじめに
600馬力をなんとも優しく、楽しめるスーパースポーツ
ズラリと並んだ2020モデル。ノーマルモデルもフラッグシップのニスモ、細部の変更を施されていますが大きな変化はありません。ただ、ニスモに関してはより迫力を増したと言う印象を強く持ちました。そんな印象を抱いているうちにニスモの試乗が巡ってきました。最初からいきなりアクセルをガツンと踏み込むのは危険なので、まずはやんわりと走り出しました。
GT-Rの最高峰モデルだというのに、拍子抜けするほど静かに穏やかにスルスルッと加速が始まりました。
テストコースはサーキットですからもちろん制限速度はありません。大人しく走り出したはずなのですが、第1コーナーを過ぎて軽くアクセルを開けるとあっと言う間に100㎞/hをオーバーしていきますが、次のコーナーに突入するブレーキをグッと踏み込むと、これまた適正で気持ちのいいブレーキングが始まり、思った通りの、こちらの運転レベルでも十分に安定してコーナーを抜けることが出来る速度まで、気持ちよく減速してくれます。この右足の踏み込みで自在に速度を減速できるブレーキフィーリングの気持ちのいいことと言ったら、極上と言っていいでしょう。
照明の明暗を適正にすることでより視認性を向上。アナログは情報も瞬時に認識できる
さらにコーナリング中のブレーキングもある程度簡単にコントロールできますから、ちょっぴりオーバースピードで突っ込んだかな、と思っても十分にリカバリーが効くのです。そしてコーナーのクリッピングポイントを通過したあと、アクセルをグッと踏み込んで加速体勢へと移行するのですが、これも強力な加速Gを感じながらも実に安定していますから怖いことはありません。
周回を重ねるごとにコースにも慣れ、ペースはどんどん上がっていきます。600馬力もあるのですから、ガツンとアクセルを踏めば暴れる可能性もあるのですが、これが何とも素直に冷静にその馬力を乗りこなしている自分を発見するのです。
自然なポジションが取れるペダルは位置・操作性も自然でレーシング走行でも扱いやすい
加速から減速、また加速しながらフラット感のあるコーナリングをコントロールする。もう楽しいという一言しか有りません。その速さと安定感の高さたるや“世界最高レベル”と言っていいほど気持ちがいいのです。
そんな楽しい時間もチェッカーフラッグを振られ、あっと言う間に終了しました。こんなに優しい600馬力はそうそうあるものではありません。初期のモデルの頃は馬力こそ小さいのですが、もっと力任せの感じで、機械や電子制御を駆使して力尽くで走っている感触がありました。ところが最新のGT-R,そしてニスモは“速く走っても快感、ゆっくり走っても快感”と言うレベルまでたどり着いていました。