はじめに
孤独感は日ごとに増していく
「仕事に行って帰ってきて、たまに地元の区民サークルのヨガ教室に行って。大学時代の友だちが数人いますが、みんな結婚してあまり会えなくなってる。週末なんてずっと狭い部屋でぼうっとしているだけ。貯金は増えていったけど、私は何のために生きているのかと悩んでいました」
そんなときネットで見かけたのが、出張ホストの広告でした。ホームページを見て、思わず目についた男性にメールをすると、ホスト本人から返信がありました。
「デートするまで3ヵ月くらいかかりましたけど、思い切って予約したんです。最初は会うだけ。会って話を聞いてもらって。少しだけ固まっていた心が溶けていくような気がしました」
お金が介在する関係だからこそ、自分をさらけ出すことができたのかもしれないとリサさんは言います。
長く関係が続くも迷いが
「2年ほど、月に1回、決まった人とデートしていました。ボーナス時期にはお泊まりもしました。最初はよかったんですが、だんだん会いたいのに会えない関係にいらいらし、貯金が減っていくことも怖くなって……。この半年くらいは会っていません」
男性と気持ちを通わせる楽しさを知った一方で、彼が「商品」でしかない寂しさを感じ、彼女はますます孤独の中に埋没していくような気がしたそうです。
「かといって恋愛市場に身を投じる気にはなれない。お金が介在しない関係だったら、継父みたいに暴力をふるう人もいるでしょう」
ヨガ教室で知り合った女性が、男友だちを紹介したいと言いだし、3人で会ったことがあるといいます。でもリサさんはその男性とふたりきりで会いたいとは思えませんでした。
「生身の男性は怖いんです、やはり。ホストの彼にはあんなに心を開くことができたのに。継父のことはもう精神的に切り捨てているつもりなのに、男性への不信感が抜けない。生活を少し切りつめてホストの彼に会いに行こうか、それともどうせ誰にも認められないのだから今のままの地味な生活をよしとしようか、悩むところなんですよね」
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恋をするかどうかは人それぞれです。恋など必要ないと考える人もいますし、必要ないと思っていても知らないうちに恋に落ちてしまうこともあります。
それ以前に、リサさんは「誰かと気持ちを分かち合いたい」のではないでしょうか。興味のある場所、関心のもてるものへと出かけていけば、「何かと誰か」に出会えるかもしれません。最終的に、人の気持ちはお金では買えないのですから。