はじめに

4月27日の株式市場において、ヤフー株が一時10%安と急落しました。その理由は前日に明らかになった決算です。事前には増益予想だったヤフーですが、蓋を開けてみれば上場来初めての最終減益という結果に。さらに営業利益は今期に続いて来期も営業減益になるという見通しが発表されました。

実は、ヤフーは個人的にとても注目している会社です。株式投資をしているわけではありませんが、インターネット通販とオークションを非常によく利用しているからです。そのような興味から、今回のヤフーの決算についてコンサルタント視点で読み込んでみました。


予想外の減益だった決算発表

まず、4月26日に発表されたヤフーの決算報告書を読んでみました。前評判では大幅な増益が期待されていたそうですが、それもそのはず、売上高は8,537億円。前年度比で30.9%増と大幅に増加しています。私も、おそらく売上面ではそうなるだろうと思っていましたが、堂々たる成長ぶりです。

しかも、一昨年の売上高は4,285億円でしたから2年でほぼ倍増です。ヤフーほどの大型株で、売上倍増というのはなかなかできることではありません。その点ではプラスのサプライズだったといえるでしょう。

一方で営業利益は1,920億円。これは前年度比マイナス14.6%と、減ってしまっています。

なぜ営業利益が減ったのか? これに対し、ヤフーの経営陣はある説明を加えます。

「調整後営業利益」という数字を持ち出して、それを見れば前年比24.1%の増益だったというのです。

2015年度の営業利益にはアスクルを子会社化した際の「再測定益」が596億円積み増しになっていたこと。そして2016年度に、そのアスクルの物流センター火災が起きて130億円の損害があったこと。この一時的な影響を差し引くと、営業利益は減益ではなく増益だったという主張です。

論理矛盾した説明も

「2015年度の営業利益が特殊要因で高めになっていたから、今期の営業利益が減益に見えるだけだ」。ヤフー経営陣がそのように主張するのは、理解できないこともないのですが、やはりおかしい点があります。

2014年度の営業利益は1,972億円でした。そこから見ても2016年度の1,920億円という営業利益は減益です。しかも2015年の調整後営業利益は1,653億円だったわけですから、昨年の決算は実質的に大幅な営業減益だったということを経営陣は主張しているわけです。

ところが昨年の決算報告の際に、経営陣が「実質減益でした」と頭を下げていたのかと確認してみると、実際そんなことはありません。昨年は昨年で別の指標を出して、「一時的な要因を除いた営業利益は1,980億円で増益」と表現しています。

このような過去の説明を考えれば、ヤフーの経営陣がいう「調整後営業利益」の数字は経営陣に都合のいい一時的な数字だと読み取ったほうがいいでしょう。経営陣も人間ですから、「減益でした」と素直に頭を下げるのは嫌だったのでしょう。

では、ヤフーの将来性は本当のところどうなのでしょうか?

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