はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナー(FP)が答えるFPの相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する深野康彦氏がお答えします。
私には2人の子供がいます。小学生と幼稚園児です。自分自身はさんざん浪費をしてきて、決して賢いお金の使い方はしてこなかったのですが、反面子供たちにはお金に苦労する人生を送ってほしくないと思っています。小さい頃に教えることで、将来に役立つお金の教育方法はありますか? できれば、お金との賢い接し方を習慣づけてほしいです。
お金との接し方を教えるのは難しく、あまりほしいものを与えないようにしても大人になってから反動が生じそうで、かといって奔放にほしいものを与えるのも逆効果な気がしています。自分が思いつくのは、お小遣いを年俸制にして、計画的なお金の使い方を身につけさせる、ということくらいです。よいアイデアがあれば教えていただけると幸いです。
(30代後半 既婚・子供2人 男性)
深野: 子供の金銭教育に関するご質問ありがとうございます。
2人のお子さんは、小学生と幼稚園との記載があります。勉強やスポーツだと、早いうちから学ばせておいたほうがよいのは確かですが、幼稚園や小学校の低学年の子供にお金について自分で学んでもらうのは厳しいかもしれませんね。
その年齢であれば、親御さんがしっかりとそばについて学ばせる必要があるでしょう。
まずは「おこづかい帳」
では、お金について学ばせるためにはどうすればよいのかですが、まずはおこづかい帳をつけさせることからはじめるのがよいかと思います。つける方法はなんでもよいですが、最初は手書きで覚えさせることが肝心かと思われます。
おこづかいの与え方に関しては、まずは毎月制からはじめ、その後に年棒制に移行する方がよいと思われます。それは最初から年棒制にすると、やりくりを覚える前におこづかいを使ってしまい、教育効果が薄れる可能性があるからです。
ですので、月々のやりくりを覚えてもらってから、年棒制にステップアップさせる方式がよいでしょう。
ほかにも金銭教育の方法はさまざま
また、筆者のFP仲間が実施した方法もご紹介しましょう。そのFPは、子供のおこづかいを毎月米ドルで渡していたそうです。米ドルは、そのままでは日本国内では使えません。そこで、銀行の窓口で両替する方法を教えます。
最初、お子さんは米ドルをもらったらすぐに銀行で両替を行っていたのですが、あるとき、同じ金額(米ドル)を両替しているのに、受け取る円の金額が違うことに気づきます。
「なぜだろう?」と子供は父親に質問し、そこで始めて為替レートについて子供に教えたそうです。その後、子供は為替レートを見て、なるべく円安の時に両替したほうがよいということを学んだといいます。
また、子供の金銭教育についてはさまざまなところで実施されています。私たちFPが登録している日本FP協会では、毎年11月にFPの日として、全国の都道府県で無料の講演会や相談会を行っています。
その催事のひとつに、おこづかいゲーム的な「子供の金銭教育」があります。参加は無料ですので、日本FP協会のホームページ内にある各支部の情報をご覧になってみてください。
そのほか、夏休みや冬休みには金融機関や東京証券取引所などが「サマーキャンプ」などと銘打って子供の金銭教育を行っています。それらへの参加を検討されてもよいでしょう。