はじめに
2017年導入の新制度で初の上場事例
法人としてのコシダカHDにはメリットはありませんが、損もありません。今回は、2017年に導入された「スピンオフ税制」という制度を使うからです。
普通に保有株を売り出すと、コシダカHDには株式譲渡益が発生します。それも巨額のです。 したがって、税金も巨額になります。しかし、今回は持っているカーブスHD株式を、コシダカHDの株主にタダであげるとはいっても、配当の形をとるので課税されません。
株主側にも税の優遇があります。コシダカHDからは配当でもらうのですから、普通なら巨額の配当課税をされるところですが、それもないという税制です。ただし、もらったカーブスHD株を、市場で売却したらその時には課税されます。何しろタダでもらってるのですから、売却益は売った値段そのものです。
スピンオフ税制は、企業の成長に必要な組織再編が柔軟にできるように導入されたものでした。が、導入から2年経ってようやく第1号案件が登場したということは、やはり上場会社の稼げる子会社への支配欲は根強いということでしょう。
このスキームを実施するには、株主総会で3分の2の賛成を得る必要がありましたが、11月27日の定時株主総会で無事可決しました。議決権を行使した株主は全体の89.68%ですから、かなりの高水準です。このうち賛成が93.80%でしたが、反対票を投じた人も5.79%はいたようです。
コシダカHD株は今が“買い”か
カーブスHDは現在、上場審査待ちの状態です。新株の発行も予定していて、発行済みの5%程度の株数を想定しているようです。同社株の配当は、来年2月末時点のコシダカHD株主に対して実施されますので、来年2月26日までにコシダカHD株の購入手続を済ませておけば、カーブスHD株の配当を受けられます。
ショック療法が効けば、鈍化していたカーブスの成長が再度、加速モードに入るかもしれません。とはいえ、効くか効かないかはフタを開けてみないとわかりません。
来年1月10日にはコシダカHDの2020年8月期の第1四半期(2019年9~11月期)決算が公表されます。それを見てからという判断もアリですが、もしカーブスが好調ならコシダカHDの株価も上がってしまいますので、考えどころでしょう。