はじめに

ラグビー人気普及の起爆剤に

2023年のW杯は、9月から10月まで全国9都市の会場で計48試合が行われます。試合会場を構える南部の港湾都市、マルセイユも海外から多くの観戦客を迎え入れようと準備を進めています。昨年12月にはミッションが日本行脚にやってきました。

マルセイユの人口は約87万人。都市としてはパリに次ぐ2番目の大きさです。地中海に面しており、気候は1年を通して温暖。「年間300日以上も太陽が出ており、仕事をしようというモードにならない」と、マルセイユのモニク・コルディエ副市長は笑います。

W杯の会場となるオランジュ・ベロドロームでは6試合が行われる予定。このうち、2試合は決勝トーナメントの準々決勝です。念願のベスト8入りを遂げた日本代表チームの躍動する姿が見られるかもしれません。

ジャン・ロアッタ副市長
インタビューに答えるマルセイユのロアッタ副市長

「文化とスポーツの融合都市、それがマルセイユ」。ジャン・ロアッタ副市長はそう力説します。港町とあって坂道も多く、これまで同都市を舞台に多くの映画が撮影されています。ジーン・ハックマン主演の『フレンチ・コネクション』や、フランスを代表する監督のリュック・ベッソン氏の『TAXI』などは日本の映画ファンにもおなじみの作品でしょう。

マリンスポーツも盛ん。そして、マルセイユといえばサッカーの都市です。ベロドロームはフランスの最高峰「リーグ・アン」の名門チーム、オランピック・ドゥ・マルセイユの本拠地。現日本代表の酒井宏樹選手も所属しています。

それだけに、「サッカー先進地域」というイメージが先行しがちですが、ロアッタ副市長は「日本(のW杯成功)から学べることは多い」などとラグビー人気の普及にも力を入れたい意向です。

試されるマルセイユ流「おもてなし」

治安などを不安視する声に対しては、「『フレンチ・コネクション』のイメージを引きずった指摘。2016年のサッカー欧州選手権でイングランドとロシアのファンが衝突したのを除けば、(大規模なスポーツイベントで)暴動などが起きたことは一度もない」とコルディエ副市長は話します。

2023年大会で試合会場だけでなく、ラグビーW杯に出場するチームのキャンプ地としても名乗りを上げており、観光振興の起爆剤にしたい考えです。

日本で開かれたW杯で、世界各国の選手の心をとらえたのは「おもてなし」。ウェールズのキャンプ地となった北九州市では、1万5,000人の市民が練習会場に集まってウェールズのアンセムを合唱して選手を歓迎しました。

ニュージーランドのオールブラックスのキャンプ地だった千葉・柏市では、子どもたちが戦いに臨む儀式である「ハカ」を披露。黒衣軍団の拍手を送る様子がSNSなどを通じて世界に拡散されました。2023年のW杯ではどのようなマルセイユ流の「おもてなし」で選手たちを出迎えるのでしょうか。

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