はじめに

台風被害の10月よりも11月が落ち込む

第4四半期の売上高が第3四半期の実績を下回ったうえに、営業利益と当期純利益には明らかに急ブレーキがかかっています。売上高総利益率は変わっていないので、売上高が減った分、人件費など販売費の固定費部分の負担が相対的に重くなってしまったのです。

串カツ田中の第4四半期は9~11月です。月次の売上高実績を見てみると、2019年9月は前年同月比29.6%増でしたが、10月は同18.6%増。11月はさらに下がって同15.5%増でした。

既存店の数字はより深刻です。9月が同6.5%減、10月が同8.2%減、11月は同11.9%減。台風の影響を受けたはずの10月よりも、天候はまずまず安定していた11月のほうが厳しい結果だったのです。

11月の月次を発表したのは昨年12月4日ですが、5日以降、株価は4~5%下落しました。既存店が100%を下回る状況は昨年3月から続いており、特段の理由もない11月の数字が10月以上に厳しかったことに、市場は反応しました。既存店がせめて前年同月比5~6%減くらいで行かないと、新規出店も含めて3割増収を達成できないからです。

急失速の理由は?

第4四半期に失速した原因について、会社側も確信を持って分析できているわけではありません。消費増税の影響、大きなキャンペーンを打っていないなど、さまざまな原因が複合的に作用したのではないかとみているだけです。

1月8日に開示された12月の月次売上高は、全社で前年同月比25.6%増、既存店で同3.7%減と、10月、11月に比べるとだいぶ回復していますが、これも何が決め手になっているのかはよくわからないそうです。

串カツ田中は2018年6月、同業他社に先駆けて全席禁煙を実施。ファミリー層の取り込みに成功しています。当時はメディアも盛んにそのことを取り上げたので、2018年中盤以降の好調はメディア露出のおかげもあるそう。2019年はその反動が出ているわけです。

ファミリー層は休日の客数増には大きく貢献していますが、一方で平日のビジネスマンの客数が減ってしまいました。ビジネスマン需要の回復に向けて、ドリンクのWEB定期券など、お得感のあるチケットの投入でテコ入れを図っていますが、喫煙OKに戻すつもりはまったくありません。

4月からは東京都の受動喫煙防止条例が施行されますので、たばこが吸えないことを理由に串カツ田中に来なくなった人がいたとしても、他の店でも吸えなくなるので、戻ってくる可能性があります。ただしその分、現在のような休日のアドバンテージを維持できるかどうかわかりません。いずれにしても、串カツ田中にとっては4月以降が勝負といえそうです。

この記事の感想を教えてください。