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新型コロナ感染拡大でも“日経平均が大崩れしない”のはナゼか

武漢“封鎖”からの下落は▲1.3%

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新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。中国での新規感染者の増加のペースは、公式発表を見る限り、2月16日に2,048人から翌17日は1,885人、18日は1,749人と連続で減少しましたが、日本国内では感染経路が特定できない感染が広がりつつあり、先行きに対する不安が高まっています。

そのような中でも、日経平均株価という指数でみた場合、下げ幅は限定的なものとなっています。中国政府が武漢を“封鎖”した1月23日の日経平均株価の終値は2万3,795円でしたが、本稿を執筆している2月20日時点でも2万3,479円と、率にして▲1.3%の下落に留まっています。


下落が限定的な2つの理由

日経平均株価の下落が限定的なものに留まっているのには、いくつか理由があります。1点目として挙げられるのは、過去の感染症による株価への影響を調べると、下落は一時的なものに留まり、長期的な影響は限られる場合が多いことが挙げられます。

過去に警戒された感染症である新型インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)などの場合も、1年を通じて株価を下落させる要因にはなりませんでした。これは、感染症などへの警戒感から一時的に消費が抑えられたとしても、需要の先延ばしであり、先々の需要はむしろ高まるとの考え方が背景にあります。

2点目としては、株式市場の主要プレーヤーが存在する欧米で、新型コロナウイルスの感染拡大がみられていないことが挙げられます。そのため、パニック的な売りが発生しづらく、株価も比較的落ち着いた反応を示しているのです。

しかしながら、個別銘柄に目を移すと、様相は大きく異なります。代表的な銘柄群として、インバウンド需要で恩恵を受けてきた銘柄が挙げられます。

2月19日に発表された2020年1月の訪日外国人客数は前年同月比で1.1%の減少に留まっていますが、先々の影響拡大が予想される中でJALやANAといった空運株、三越伊勢丹ホールディングスや高島屋といった百貨店株、京浜急行電鉄や京成電鉄といった空港と都内を結ぶ鉄道株などには、多くの影響を及ぼしています。

今後のカギを握る「PMI」

このような中で、日経平均株価が下がらない背景には、ファナックやアドバンテストといった値ガサの輸出関連株が堅調に推移していることが挙げられます。

これらの銘柄は、日本国内の需要のみに依存しているわけではないため、海外の経済指標の影響を強く受けますが、今後発表される欧米の製造業PMI(購買担当者景気指数)などで新型コロナウイルスの影響が確認された場合には、これらの銘柄にも売り圧力が広がる可能性があります。

最も注目されるのは、3月2日の深夜に発表されるアメリカの2月製造業購買担当者景気指数です。またその前哨戦として、2月21日に欧州の2月の製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)が発表されます。このような指標が発表されたタイミングで、物色の傾向が大きく変わる可能性もあるため、相場動向には注意したほうがいいでしょう。

<文:シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎 写真:西村尚己/アフロスポーツ>

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