はじめに

2020年、コウペンちゃん海外へ

――コウペンちゃんのキャラクター展開にあたって、注意されたことはありますか。

当たり前のことですが、グッズのデザインとかクオリティに関しては妥協せず、こだわっていて、デザインや色味などタグにいたるまですべてチェックをします。まぁ、これは、コウペンちゃんに限った話ではなく、すべてのキャラクターに対して言えることですが。

ただ、昨年秋に発売されたVAIOの「おしゃべりコウペンちゃん」は、コウペンちゃんだからこその大変さはありました。

――秒で完売したぬいぐるみロボットですよね。

VAIOの「おしゃべりコウペンちゃん」。テレビ番組でのマツコ・デラックスとの絡みの面白さが話題に

「おしゃべりコウペンちゃん」はコウペンちゃんと会話ができ、愚痴を言えば慰めてくれ、肯定してくれるわけですが、コウペンちゃんは、絶対に人を傷つけるような行為を肯定してはいけないんです。コウペンちゃんが言わない言葉をリスト化したのですが、それがものすごい量になって。もちろん、そのすべてをチェックしました。大変ではありましたが、「おしゃべりコウペンちゃん」はすごいものになったと思います。

――今年は年明け早々、全国4都市でカフェが開催されるなど話題がつきませんが、今後、コウペンちゃんはどう展開していくのでしょう?

今、海外への展開を進めているところです。

――海外ですか。

フェイスブックにツイッター、インスタグラム、それぞれにコウペンちゃんの公式アカウントがあるのですが、どれも海外からのアクセスもすごく多いんです。すでに香港・台湾ではさまざまなキャンペーンを展開していて、インスタグラムは香港からのアクセスが国内より多いほどです。

以前、コウペンちゃんが打首獄門同好会の「布団の中から出たくない」という楽曲のミュージックビデオ(MV)に登場したとき、そのMVを誰かがウェイボーにアップしたんです。すると、あっという間に広がって、わずか数日で再生回数1,000万回を超えたこともありました。

――すごいですね。

アジア全般はキャラクター好きではありますが、コウペンちゃんのコンセプトをどこまで理解してもらえるかなとも思っていました。でも、予想以上に受け入れられています。中国も大学進学や就職などでの競争が激しく、みなさん、癒しを求めているのかもしれません。

韓国でのエージェントも決まりましたし、中国のアリババともキャラクター契約を結びました。中国の口コミの拡散力を考えると、コウペンちゃんは今までにないところにまで広がっていけるのではないかと考えています。ただ、アメリカについては、癒しのキャラクターのニーズが未知数で、まずは低学年をターゲットに考えています。

――3年目に大飛躍ですね。

息の長いキャラクターにまで成長させるのって、3年目がすごく大事。ヒットしたキャラクターでも、寿命は2~3年と言われています。どうしても、売り場が飽きてしまうんですよ。でも、3年目もクオリティやレベル、規模をさらに上げて、勢いを維持できたら、5年、10年と続く可能性がかなり高くなる。10年続くキャラクターとなるとミラクルで、狙って作れるものではありません。でも、コウペンちゃんはそういう存在になれるのではないかと思っています。

川上洋一(かわかみ・よういち)
スパイラルキュート代表。百貨店、玩具メーカーでの営業・開発を経て、独立。キャラクターライセンスのプロデュースから、キャラクターの企画・開発を手がける同社を立ち上げ、さまざまなキャラクターのプロデュースを手がける。毎年、国内最高のキャラクターおよびブランドを選ぶ「Licensing of the Year」の常連で、2013年「なめこ栽培キット」、2015年「コップのフチ子」、2019年には「コウペンちゃん」がライセンス・エージェンシー賞を受賞

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