はじめに

「男からも女からも電車で、スネ毛とか見られるの気にならない?」「わかる!ショートパンツ履く時とか気になる」――。シェアハウスが舞台の恋愛リアリティ番組を模した動画内で交わされた、この会話。実際の若者への意識調査を参考に作られものです。

化粧品メーカーのマンダムが、2020年春夏の新商品を報道陣に紹介するイベント「マンダムハウス」を開催。その中に登場したのが、男性向けの除毛フォームです。

部位によっては「ツルツル」にしたいという20代男性のニーズに応えた商品。どのような消費者の心理があるのか、深掘りします。


若者は「ギャランドゥNG」

マンダムが2月17日に発売した「GB 除毛フォーム」(税別750円)。除毛剤が泡状で出てくるタイプで、腕や脚などに塗ってから10分程度待ち、こすりながら洗い流す商品です。

2015年から同じシリーズで、すきカミソリの「ボディヘアトリマー」を販売していますが、こちらは好きな長さにスネ毛を減らせるので、完全な「ツルツル」を避けられるのが特徴でした。

一方、今回発売した除毛フォームは、むだ毛を取り去ってツルツルにできます。こうした商品を販売するに至った背景には、何があるのでしょうか。

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同社がソーシャル世代の若者を研究するプロジェクトチーム「Z世代会議」と共同で実施した調査の結果から、体毛に対する若年層の意識変化が読み取れます。

大学生の男女計26人を集めて「男性の理想の体毛」を話し合う座談会。そこで女性側の意見としてまとまったのは、「胸、手足の甲はツルツル」「腕やスネは薄め」「ギャランドゥ(へそ下の毛)はNG」という内容です。男性の体毛は全体的に薄くあってほしいといいます。

「誰も不快にさせない」を重視

座談会でキーワードとなったのは「清潔感」や「ナチュラルボーン風」といった言葉。「誰も不快にさせない真っ白さ、まっさら感」を、重視しているといいます。

一方、男性側が意識するのは異性だけではなく、同性も目線も含まれます。マンダム商品企画部の池田千佳子主任は「若い男性はショートパンツを履いている時に、隣の友達と脚の毛を比べて『毛深いかも』と気にし始める」と説明。身だしなみの一環として、体毛ケアをする人が増えているといいます。

「(Z世代は)はみ出したくない世代なので、誰かからノーと言われたくない。手をかけて失敗しないように自分を整えている。持って生まれたネガティブポイントをなくしたいと考えているのではないでしょうか」(池田主任)

また、メディアで注目される男性芸能人がここ数年変化しており、中性的なタイプが好まれるようになったことも影響している、と分析します。

実は、マンダムが男性向けの除毛フォームを発売するのは初めてではありません。2000年に除毛剤を出したことがあり、約20年ぶりの発売になります。「時代がようやく追いついた」と、池田主任は笑います。

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