はじめに

子どもふたりをひきとって離婚

結局、彼女は子どもふたりをひきとって離婚します。下の子は夫が引き取ると言ったのですが、彼女は手放すことができませんでした。

「私が育てると言ったら、夫は案外簡単に納得しました。もともと子どもにはあまり興味がなかったのかもしれません。私が生活のために再婚を急ぎすぎて、どういう人間かをきちんと見なかったのがいけなかった」

7歳になる娘と2歳になる息子を抱え、コズエさんは別のシェアハウスに入居しました。夫からは毎月、少しですが養育費が入ってきますが、彼女の収入は相変わらず低いまま。

「周りの人たちの応援を得て、今は週に2回、スナックでアルバイトもしています。ママがいい人なので、私の心のよりどころですね。お客さんも、ときどき『パチンコでとったんだけど』とお菓子をもってきてくれたりして。私の負担にならないようにしながら気にかけてくれているのがわかってありがたい」

前を向いて

下の子がもう少し大きくなったら、彼女は公的な職業訓練校に通うつもりでいます。そこで手に職をつけて転職を考えているのだそう。

「2度の離婚を経て、結婚すれば何もかもうまくいくわけではないと痛感しました。2度も離婚しなければわからなかったのは私のミスですが、代わりに宝物を2人も得られた。これからは自分の道は自分で切り開いていくつもり。もちろんめげそうになることもありますが、ラッキーなことに周りにたくさん味方がいる。人の助けを借りながらがんばっていきます」

最後はさわやかな笑みを浮かべたコズエさん。以前に比べると、表情が明るくなったと言われるそうです。男女の賃金格差がなくなり、母子家庭の母親がもっと収入を得られる方法があればコズエさんももう少しラクになれるのにと思わざるを得ません。

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