はじめに

中央線沿線人気に陰り

さらに、池本編集長は「大きな傾向として、中央線沿線の人気に若干の陰りがある」と語ります。特に若い世代で人気が低下しており、今年のランキングを年代別で見ると、20代だけ大宮が吉祥寺を抜いて3位に。「高円寺や阿佐ヶ谷に対して、今の20代があまり魅力的と思っていない。中央線カルチャーへの共感がなくなっているのではないか」(同)

池本編集長によると、他の世代と比べて若い世代で大きい比率を占めるのが、「ショッピングモール消費型」と「共感投資型」の2属性だといいます。

パッケージ化された中でコストパフォーマンスが高いものを追求するショッピングモール消費型の人々は、土地のブランドよりも、暮らしていくのに便利な場所を好むといいます。大宮や北千住、赤羽など、人気が近年上昇しているエリアは、この属性に支持されているといえそうです。

一方の共感投資型の人々は、SNSを通じたイベントやボランティア活動などに熱心に参加する「意識の高い」タイプ。この属性は、イベントの多く開催される都心部へのアクセスを重視するので、築古物件をリノベーションしたり、狭小の賃貸物件に住んだりと、都心に住むことにこだわります。

つまり、そこそこの利便性がありながら住宅費は割安で済む「郊外のターミナル駅」か、住宅費はかかるものの交通や商業の面で利便性の高い「都心の便利な駅」の2つに人気が集中。一方で、そうした特性を持っていない駅の人気が低下するという、新たな二極化が首都圏で起きているとみられます。

20〜40代を対象に調査している住みたい街ランキング。中央線沿線のように、土地のブランド力がありながらも、このどちらの属性からも選ばれない、「やや郊外」エリアに位置する街は、今後ランキングの順位を落としていく可能性があるそうです。

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