はじめに
先行きの見通しは史上3番目の悪さ
2月の景気ウォッチャー調査で特徴的なのは、先行き判断DIが大きく悪化したことです。現状判断DI(季節調整値)は、悪いほうから数えて11番目の指数水準でした。1~10番目は2008~2009年にかけての8回と東日本大震災の2011年の2回です。
現状判断水準DI(季節調整値)は30.0と1月から▲9.0ポイント低下しましたが、指数自体は悪いほうから数えて27番目タイ。リーマンショック時、東日本大震災のほかに、2002年~2003年にかけて30.0以下は7回つけている指数水準です。
一方、先行き判断DI(季節調整値)は前月差17.2ポイント低下の24.6.になりました。この水準はリーマンショック時の2008年12月の21.3、2009年1月の23.8に次ぎ、3番目に悪い水準です。
東日本大震災の時には現状判断DIは大幅に悪化しましたが、復興期待があるため、先行き判断DIはそれほどは悪化しなかったといえます。今回の新型コロナウイルス感染は先行きが見えないため、先行き判断の悪化の程度が大きいのです。
新型コロナの打撃が最も大きい地域は?
「新型コロナウイルス」関連現状判断DIは1月の29.1から2月は17.5へ悪化しました。また、「新型コロナウイルス」関連先行き判断DIは1月の29.9から2月は20.4へと悪化しました。先行き判断で新型コロナウイルスについてコメントしたウォッチャー数も345人から1,059人に拡大し、全体の58%と過半数にのぼりました。
「新型コロナウイルス対応の不手際により、信用できる情報が何かを見極められない状況である。信頼できる安全宣言、終息宣言が発せられるまで、回復を見通すことができない」(北関東・旅行代理店<所長>)、「新型コロナウイルス感染が日本を始め世界的な規模で拡大している。当地でも、発生こそないが、観光業を始めとする基幹産業での影響が、今後強く懸念される」(九州・職業安定所<職員>)といった厳しいコメントが散見される状況です。
新型コロナウイルスに関してコメントしたウォッチャーの割合が74.8%と最も多い地域は、インバウンドの悪影響が大きく、感染者も全国で一番多い北海道です。関連DIは16.6になりました。全員が「やや悪くなる」と言うと25.0ですが、それを8.4ポイントも下回る悪い数字となっています。
一刻も早く感染拡大が収まること、早く有効な治療薬が発見・開発されたり、ワクチン開発が行われるなど、人々に安心感が生まれることを期待したい状況です。