はじめに

近年はライフプランも多様化し、シングルマザーやシングルファーザーといった「ひとり親家庭」も増えています。厚生労働省の調査によると、日本の母子世帯は約124万世帯、父子世帯は約22万世帯にも(平成23年度「全国母子世帯等調査結果報告」)。

しかし、母子家庭の平均就労収入は月約15万円という調査結果もあります(平成24年「国民生活基礎調査」)。

子供のいる世帯の就労収入が月約52万円ですので、その3割ほどしかありません。「収入が少なく今の生活が不安」「子供が望む進路に行かせてあげたい」そんな想いで日々生活している母子家庭(父子家庭)の方が知っておきたい手当や制度をご紹介します。


平成28年に改正された「児童扶養手当」

まず、ひとり親家庭には明るいニュースとなった児童扶養手当からご紹介します。

平成28年8月「児童扶養手当法」が改正されました。手当の支給額はお子さんの人数にあわせて、以下のようになります。

■子供が1人の場合:月4万2,330円~9,990円
■子供2人目の場合:月1万円~5,000円加算
■子供3人目以降(1人につき):月6,000円~3,000円加算

児童扶養手当は申請した次の月から受給資格がありますが、毎月の支給ではなく4月、8月、12月に4か月分まとめて支給されます。

支給額に幅があるのは、所得によって支給額が変わる制度だからです。所得が低い場合は児童扶養手当の支給額が高く、所得が高くなると児童扶養手当の支給額は低くなります。

また扶養親族の人数が1人の場合は、所得が230万円以上になると支給停止となります(同じく2人の場合268万円以上、3人の場合306万円未満以上で支給停止)。そのため正社員として働いていると「児童扶養手当、支給されてないよ」というひとり親家庭の方も多くいます。

また、この際の所得は養育費の8割が所得として計算されるなど注意点もあります。これから離婚する、あるいは働き方が変わった場合は、必ずお住まいの自治体で受給額を確認しましょう。

現金が支給される手当や制度

児童扶養手当以外にもひとり親家庭に現金が支給される各種手当があります。子供の年齢やお住まいの自治体などによっても違いますので、自分が該当するかどうかをしっかり確認しましょう。

■児童手当(0歳~中学生)
■就学援助制度(小学校・中学校)
■給付型奨学金(私立大学、団体ほか)
■児童育成手当(東京都の場合)
■遺族年金(死別の場合)
■生活保護

児童扶養手当は、子供が産まれてから支給される制度なので申請漏れは少ないですが、就学援助制度や給付型奨学金などは子供が通う学校から案内があり、学校に申し込みを行うケースがほとんどです。

お子さんには「大切な案内があるので忘れず見せてね」と日頃から話をするなどし、書類の申請漏れがないように気をつけましょう。

また経済的に困窮している家庭の子供が大学に進学できるよう給付型奨学金を設けている私立大学や団体などが増えてきました。「お金がないから……」と諦める前に、積極的に情報収集を行うことをおすすめします。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介