はじめに

新型コロナウイルスが身近なこととして話題になり始めた2月後半、不倫関係を続けていた女性たちからは、「別れるきっかけになった」という声がいくつか届きました。その後、別れたという話はあまり聞きません。


夫婦関係に息が詰まってしまって

家庭で家族と顔をつきあわせていると息がつまります。そんな愚痴を共有できるのは、ふたりとも既婚の不倫でした。アリサさん(39歳)は結婚10年、8歳の双子を抱えて在宅勤務になっています。

「工場で働く夫は自宅待機なので、経済的にも精神的にも行き詰まっています。私は週に2回の出社ですが、1年ほどつきあっている彼が社内にいるので、夫には週に3日出社だと伝えています。それで彼と打ち合わせてデートしているんです」

家で仕事をするときも子どものめんどうをみるのは、今や主に夫。自宅待機中の収入があるかどうかさえわからない夫は、一時期、ヤケになりかけましたが、アリサさんは夫を家庭内で立てています。

「夫も私がいないほうが“主夫”をやりやすくなっているみたいです。彼とは『今週は、いつ出社? じゃあ、いつ会う?』と連絡を取り合っています。とはいえ、どこかに行くとかレストランで食事とかもむずかしいので、だいたい朝からホテルへ行って夕方まで過ごすのが定番になりつつあります」

前より彼との時間が増えたかもしれないとアリサさん。ただ、万が一、どちらかが感染していたら、会社や家族を巻き込んでの大騒動となるのは目に見えています。それでも、会わないでおこうという選択肢はないと言います。

「夫とこんなに長い時間を家で一緒に過ごすのは、結婚以来、初めてなんです。ずっと共働きでしたから。長く一緒にいると、お互いの欠点ばかりに目がいってギスギスして、私の出社がなかったらとっくに破綻しているかもしれません。生活のこと、子どものことなどへの不安や心配も夫とは共有できずにいるし、お互いに愚痴ばかり言っていてもしかたがない。その点、彼とは生活をともにしていないからこそ、言いたいことが言えてわかりあえる。今は彼との時間があるからこそ、がんばっていけるんです」

ダブル不倫組の多くが、この意見に同意するのではないでしょうか。善悪ではなく、今、彼らは「今までつきあってきたもうひとりのパートナー」とは別れたくないと感じているのです。

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